Sisqo
Dru Hill
Somebody's Holding You -- It Makes My Heart Sink
[2004/06]

この前、MaryJ.のLove&Lifeコンサートに行ってきました。彼女の歌いっぷりにただただ涙。だからこそ、男性陣の方も書かなくちゃいけないと思って。あまりそのまんまだったから、ずっと書く気が無かった。けど、自分の知ってる歌の中でこれが「彼女と別れた直後」を一番リアルに歌ってる。その心意気は買いたい。そして、そんな曲を探す若い男の子の為にちゃんと書いておかないと。これからも若い娘がMaryJ.を必要とするように、若い男はSisqoを必要とするから。

「誰かがお前を抱いている - その事実は僕の心を下水溝に押し込める」

想いが残っている地点で正面からこの事実を見つめるのは辛い。この辛さは浮気地獄だったMaryJ.と同じレベルだと思う。だからこそ、この地点で逃げなかったSisqoは好きだよ。別れた辛さを他の異性で紛らわせることの酷さ。「逆の立場になった時に踏みとどまれるか」も大きい。男からすればもっけもの程度の話だけど、それはやっぱり違う。「もう一度、ゆっくり考えよう。今のままじゃ俺はこすくなって、君の魅力は絶対になくなる。俺は明日の同じ時間に同じ場所で君を待ってたい」って。そんな男性に出会えた女性はそれだけで綺麗に閉じれる。そして、この言葉を言えるだけで男の未来も開く。本当の意味でその女性と付合えると思う。けど、それが激稀って誰でも知ってる。後先考えずに目の前にぶら下がった人参に飛びついちゃうのが男のアホさ加減だから。けど、この地点でここまで歌うSisqoなら、逆の立場になった時にきっと出来ると思う。だからこそ、これだけ好きなんだよね。

今まで知ってる「この瞬間、誰かがお前を抱いている」曲は、Stevie Wonderの"Lately"やR Kellyの"When a woman's fed up"だった。ここでの言葉は

Lately I've been staring at the mirror Very slowly pickin' me apart,,,

この「鏡」って凄く大事だと思うな。なぜかいつでも鏡の前なんだよね。それが男の本質かも・・・って思う時はある。「女が鏡を見るのは化粧をする時と、化粧を直す時だけだ」って言ったのが誰かは知りません。かもしれないなぁ、と思う。逆に「男が鏡を見るのは意味が壊れそうな時だけだ」って言うのなら、それは確かに納得するんだよね。自分がどん底の顔してる事くらい考えなくても分かるのに、それをわざわざ鏡に映し出す。余計に落ち込むって決まっているのに、そんな事をやってしまう。それはやっぱり、男は最終的に意味の世界に生きているからだと思う。(女性は生命の誕生を司っているから、究極的には男みたいに意味に悩まない)

なのにSisqoは違う。独りとことん触れた/触れなかったのリアルな世界にいる。そして余計に苦しんでる。普通は頭から振り払おうとして苦しむのにね。彼だけは見つめて苦しんでる。「他の男がお前を抱いてる」だよ。そんなの真正面からみたら廃人直行だと思う。けど、Sisqoがどれだけ好きだったかは誰でも知ってるのにね。それなのにこの歌か。。そんな姿はそれだけで輝きだと思うな。別に全員が中に入らなくてもいいとは思う。無理してまで聴きこむ曲じゃない。けど、この輝きは遠くからでも眺めて欲しいな。

Dru Hillの傑作は未だにデビュー作なのだろう。これはコンセンサスになるのかな。この二作目:Enter the Druは彼らの初No1ソングもあるし結構売れた。けど、買った誰もが最終的に聴きこまなかったと思う。誰でも聴けて、誰でも認めるのはHow Deep is Your Loveだけだと思う。そして、このHolding Youが一番底だろう。それは歌詞みれば誰でも分かるレベル。彼はそこまで歌ってる。

もちろんデビュー作から追っかけている人は"in my bed"の存在を知ってる。けどさ、あれは誰が見ても心が入ってなかった。本人達も歌いたくなかったってのも有名な話だしさ。だからこそ売れたんだと思うが。"holding you"もその延長線上にある。なのにこちらはマジどん底。あの頃からそう思ってたし、それは今でも変わらないか。全く、なんでわざわざこんな底の曲を収録したんだか。。きっと、Sisqoはin my bedの状況にはなった事がなく、Holding Youの状態になったことがあるのだろう。だからこそここまでリアルに歌いこんでいるのだろう。

慰めるために別れた直後の男友達と飲みに行ったとしよう。そこでさ、Holding Youまで出されたらどうする? すげー困るというのは完全同意かな。こんなの誰も何も言えないよ。だからこういう事は独りの世界の話なんだよね。だから、結局、余計に重い世界だ。その時に側に来てくれるのはこの曲だけだと、、、思う。

ぶっちゃけ25も越すともうちょっと達観するようになる。飯や睡眠や排泄が必須なように、人間にとってこういうことも必須なんだよ。そしたらあんなこともこんなことも当然なんだって、なんか達観するようになる。それがリアルな人間なんだって。
こういう態度がいいのかどうか、よく分からない。「だからオヤジは嫌いなんだよ」って若い子に言われたら困っちゃう。自分もあの時そんなこと言われたらマジ怒ったかもなぁ。

そんなSisqoの志向性はバカ売れしたソロ作でも変わらなかった。きっと自分が見てるSisqoは皆とは違うんだろうなぁ、、、っていつも思う。「龍どっかーんのGot To Get It」や、「パンティーひもひものThong Song」や、「広がる穏やかな後悔のincomplete」を誉めるのが当然だから。けどさ、このSo Sexualもその中に入れていいと思う。聴いた当初からこの曲は気になってた。いや、MaryJ.のMy Lifeと同じだと思ってた。


ずっとSinkって言葉が引っかかってた。だから辞書で調べたときは嬉しかったな。Sinkの意味っていっぱいある。けど、「下水溝、汚水だめ」って言葉を推したい。bottomじゃなくてsinkを持ってきたSisqoのSoulは、この日本語じゃないと汲めないと思うから。こうやって心の底からすくい取るようなリアルな英単語を一つずつ見つけて行きたいと思ってる。英語の授業ってのはそうあるべきだと勝手に思ってる。けど、そんな女の先生がいたらさすがにびびるかもw 「いい、女の子に振られた時はbottomじゃないのよ。sinkなのよ」って。けど、 それを聞いた男の子は、その時に逃げないだろう。ああ、これがsinkかぁ、、、って浸れると思う。そんな意味では、全ての教育って最終的にはこういうモノを伝えるべきなのかもね。

この曲を聴きこめば、きっと次のパンティーひもひもThong Songの新たな一面が見えると思うな。声の表情において、この曲は真面目なことが伝わると思う。Sinkが無くてパンティーひもひもになるから、世の中は絶望になる。それが絶望であって、sinkは本当は絶望ではない。それはsinkを背負った後に分かると思うな。VideoClipじゃノってたSisqoも口にしては言わないけど、そこまで踏まえた上でのThong Songだと思う時はある。

そしたらSisqoの光であるincompleteの本当の意味が分かると思うな。「あの頃の俺は若かった」ってのは軽々しく使っちゃいけない。そしてSisqoは言える資格がある。No1になった曲だけど、この

広がる穏やかな後悔
って凄く好き。この曲を歌うSisqo自体がまだ若い。30過ぎて歌うフェーズと全然違う。あそこら辺の歌を聴いても、それがどれだけ後悔してても、「ああ、こうやって歴史は繰り返すんだなぁ」と思うから。 けど、この曲は違う。この曲は確実にアホな男の数を減らす。若い男はアホで当然と思う本HPだけど、本気で好きな女性に若い頃に出会えたら、まずそれを感謝してほしい。そして、嫌でもSo Sexualを100回聴いて欲しい。「大丈夫だよ、あいつも俺に惚れてるもん」と思った君!に一番。本当のアホ男ってのは、自分も含めてそんなもんなのです。

imcompleteって凄く好きだよ。
これってNo1になったからこそ世界中のコンセンサスだと思う。けど、それはHolding YouとSo Sexualを聴きこんだ人じゃないと、ホントは言っちゃ駄目なんだよ。若いと時ほど、こういう感覚に敏感になって欲しいです。けど、若い時ほど自分の聴き方を見つけて欲しいです。だから、うーん俺はどっちを薦めてるんだ??

どん底の曲が聴き込めたら、One Good Reasonも、What Are We Goona Doの良さも分かると思う。Imcompleteはその先にある地平線。どんな日であっても、どれだけ楽になりたくても、この道の方が最終的には価値がある。

Sisqoの結婚ソングがあるのなら、ぜひとも聴いてみたい。やっぱり彼はこのままシーンから退場するにはあまりに惜しいよ。


ちなみにimcompleteという資格はK-ci には無いと思う。これもコンセンサスになるのかなw R Kellyは言わないだろうね。彼は「若い」どうこうの世界じゃないから。道を歩んでいく彼だけど、どんな結論を持ってくるのか、それは凄く興味がある。

5Stepをスタートに、What Are We Gonna Doをあげ、All Aoneをあげ、そしてSo SexualとHolding Youだ。やっとここまで自分が来た感がある。今はなんかOne Good Reasonを聴いてます。それもSisqoの吼えっぷりじゃなくて、その向こうにいる女性を。reasonにも書いたけど、この曲の吼えっぷりも凄い。その奥のビタ一文言い訳をしない女性の姿も。

あのさ、別にそんなに固まらなくていんだよ。「あの頃の私は若かった」で。この台詞が男の専売特許って世界はそのうちになくなる。って、「若い女はアホ」とは流石に言えないし、言うつもりもない。今まで生きてきて、そう感じたことがないから。imcompleteに対応するMaryJ.の曲は無いと思うし、それが当然だと思う。けど、I can Love Youを歌えない女性には何かが必要で、それはMaryJ.でもなく、Sisqoでもなく、その場所にいける女性歌手を、自分は未だに知らない。


[2004/06/19]

ごめんなさい。こう↑書いた後に、トニブラの3作目を聴きこんでました。「若い頃のトニブラはアホ」というつもりは無いが、やっぱりふっと彼女が浮かんだので・・・ずっと一番暗いと思ってちゃんと聴きこんでなかったけど、この12:Never Just For A Ringが一番泣いていて、一番辛さを浮かび上がらせている。聴きこむほどに男の影を感じない曲で、トニブラが体を張って掴まえた結論があると思う。I Can Love YouやMad Issuesから遠い女性ほど、この曲が側にきてくれると思う。曲の中盤から歌いこむ所が圧巻です。


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