HITするとはどういう事か?
[2004/06]

ずっと伸ばし伸ばしになってる間にこちらの方に書いてしまったんですが。ここでもまとめておきますね。

HITするには、まず訴えかける対象を明確にしないといけない。マーケティングの基本中の基本ですね。だとしたら、男・女という区分けと、世代毎ってのは基本になるでしょう。ここら辺はマーケティングでもF1(20〜34歳女性)とか分類してるしね。住んでる場所も大きいし、ざっくり分けると「田舎と都会」になるかな。

ビルボードのTOPチャートを見てても全然分からないけど、やはりアメリカの音楽市場では田舎の存在も大きく、そこでコンスタントにカントリーが売れているって聞いた事がある。日本からみるとNYとかロスとかシカゴとか大都市ばっかりに目がいくけど、そんな都会に似合う音楽が、田舎でも似合うとは思わない。もちろん値段から対象市場を分類できると思うけど、CDはそんなに値段の差が無いからこれは置いておく。ラジオとかMTVとかチャンネル毎の違いもあるだろうけど、ここでは横においておく。もっと大きなところから考えたいから。

まず、大命題として、

基本的に同世代以外にアピールするのは難しい
と思うんだよね。

誰にでも上がり調子と下がり調子があるのは当然だと思ってる。だからこそ冷静に周囲と自己を判断して、今は下がり調子だから、手堅くアルバムを纏めるという判断が必要になるのだと思う。そのとき、真っ先に必要なのは「同世代の支持を得ること」 これが最近の結論。「ファンの支持を得ること」は外れだと思う。それは尻すぼみしか生まないんじゃないかな。

そして他世代に焦点を合わせるのも違うと思う。上の世代に訴えかけるのは基本的に難しい。結局は、人生経験から生まれる説得力なのだから。そりゃ若い娘に夢中になるオジサンや、若い男に夢中になるオバサンというのもあり得るが、ここを掴まえれるのは良くて一作だけでしょう(笑
下の世代を掴まえるのも難しい。特に20歳代も中盤を超すと。25以上なんて15歳付近からみればオヤジに分類されるのだし、そんなんよりも二十歳前のアイドルに飛びつくのも当然じゃん。

端的に言って、DruHillの3作目は焦点を処女作の頃の年齢層(二十歳以下)に持ってきて失敗してる。それ位にLSGの3名から学ぶことは多い。常に下の世代に訴えかけようとしてたKeith Sweatはもう完全に無理だし、常に上の世代に認められてきたJohnny Gillは若者が作るマスマーケットからは遠かった。結局、どのアルバムにおいても同世代はちゃんと抑えてきたGerald Levertだけが、次の波を掴まえることができ、2002の傑作となったから。もちろんある程度以上に売れるためには異性、同性の両者に訴えかける必要がある。その点じゃDru Hillはデビュー当初から見事なまでに達成してた。色々とゴタゴタはあってもファンは皆、暖かい視線で見詰めていたと思う。だからこそ、同年代をずっとフォローしていれば良かったのに・・・

もちろん有名人になるにしたがって、同世代の現実感とは乖離していくのはしょうがない。だからこそ、常にそちらの現状を知る努力が必要になってくると思う。そのときに一番、イイ影響を与えてくれるのは昔の友達じゃないかな。久しぶりに会って、売れても売れなくても昔と同じように接してくれる、そんな友達関係をどれだけ築いているかが、息の長いアーティストになるための必須条件だとも思ったりする。


と以前に書いたけど、確かにこれは間違ってないと思う。ホントに魅力的ならば、男・女の区別なく広がると思うから、あんまり男女の差は気にしなくてもいいと思う。ただ、どちらをメインにしているかは結構大事かも・・・って思う時はある。両方を等価に狙うと失敗するんじゃないかな。


もちろん「同世代」という軸からはみ出すアーティストもいる。
そんな彼らは


コンセプト派
って言っていいと思う。R&BがBlack-POPと同義語になった昨今だけど、コンセプト派の存在が、POPSと大きく違う点だとよく思う。

もちろん世代を捕まえるのとはちょっと違うアーティスト達もいる。彼らはデビュー当初からコンセプトを背負ってきてる。今の中では、TyreseやJaheimはこちらの分類。彼らは世代でなく、そのコンセプトに共感する層が焦点になる。彼らをコンセプト派と 簡単に分類しておく。もちろんコンセプト派の方が楽な訳じゃない。まず第一に、なろうと思ってなれる話じゃない。デビューするまでの軌跡で決まる面が大き いのだから。MaryJ.やJanetのようにデビュー当初と大幅に変わったコンセプトが可能になるには、その時々の作品を誰もが納得する形で売らなくてはいけない。それはやっぱりホントに稀だしね。そしてコンセプトはアーティストを救うときもあれば、牙をむくときもある。それが極限まで行くとDonny Hathawayのように自殺までいってしまうと思う。 


と書いたけど、これも間違ってないと思う。なろうと思ってなれるなら、誰も人生苦労しないよ。同時代派の方がよく売れるけど、その分だけ息は短いと思う。振り返ってみて「そういやあの頃、あの歌がそこら中で流れてたなぁ」って思うだろう。けど、「この歌に救われた」と言うほどの深いファンは少ないとは思う。そんな意味では、どちらが良いかは人それぞれだろうね。周囲から浮かんでしまう人ほど、コンセプト派を聴き探すだろう。


若い頃の同世代派ってのは、男だったら「女の娘のケツを追いかける」だろうし、女だったら「寄ってくる男を適切にあしらう」だろう。それが素で出来る人は苦労しない。けど、それが素で出来ない人は、どれだけそんなタイプの曲を歌っても、本当のSoulはこめられない。プロデューサとかバックにつく人がメジャーじゃなければ、HITはしないと思う。

だから、そういうタイプじゃなくて、かつコンセプト派まではなれない人は、処女作で苦労してるや。こちらにも書いたけど、UsherやJoeとかさ。Jodeci,K-ci&JoJoのように若い頃にアホで、歳をとるごとに丸くなるならいいけれど、、若い頃に内向性だったアーティストほど続かないと思う。自分としてはSHAIが一番ぴったしくるんだけど。彼らも一時代を築いたのに、結局、処女作しか売れなかったから。


今の「二十歳前後がアーティストとして一番売れる」という風潮はあんまりだろう。「30過ぎたら家族を養っていくことがメインで、たまに昔のアルバムを取り出すだけで、新作を買う気になれない」というのは良く分かる。だから、やっぱり高校生や大学生が音楽市場にとって一番のマーケットになってる。そこを狙うから、どうしてもアーティスト側も同年齢かそのちょっと上になるんだよね。その状況に不満が大です。そのままじゃ、いつまで経っても深みは生まれないと思うから。

自分の人生に責任を持てるのは自立して働き出してからだし、この歳になると、恋愛でも顔とかよりフィーリングの方がウエイトが高くなるから。25歳上だとお金はそこそこあると思うから、本当に気に入ったらVCでも買えるくらいだとは思う。そんな意味でも、もうちょっと市場全体のウエイトを二十歳代後半にシフトしたい今日この頃です。

その為にも、若者が作るチャート以外の情報発信が必要だと思ってる。
そんな意味では、仕事に忙しい合間にでもBlogとかを作る人が増えてくれると、いいかもネ。普通は学生時代に作って、社会人で忙しくなると更新を止めるのだけど・・・


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