正しい言葉
[2003/09/14]

「人類が言葉をもって、これだけの年月がたっているのだから、正しい言葉は探せばすぐに見つかる」と以前に書いたけど、最近はずっとそんな本は読んでなかった。恋愛小説もそう。そんな暇があったら、自分で言葉を探して、少しでも目の前の状況を改善していきたかったら。けど最近、漫画喫茶でアインシュタインの言葉を集めた本を見つけた。これがかなりいいんだよねぇ。だから先日買ってきました。やっぱり、どれだけ正しい言葉であっても、言う人に依存する面は大きい


「無限なものはふたつあります。宇宙と人間の愚かさ。前者については、断言できませんが」
なんて言葉はアインシュタインだからこそ価値が上がる。「オレの日々を否定しないでくれぇ」という気分になるが、減ったかどうかじゃなくて、減らそうと四苦八苦してるかどうかだとは思う。


「熱いストーブに1分間手を載せてみてください。まるで1時間ぐらいに感じられるでしょう。ところが、かわいい女の子といっしょに1時間座っても、1分間ぐらいにしか感じられません。それが、相対性というものです」
やっぱりそうだったのか アインシュタイン!!ってな気分だなぁ。相対性理論において時間の流れは一定じゃないけど、心情の中においての時間の流れはもっと一定じゃないと思う。ミヒャエル・エンデは傑作「モモ」の中で、「時の流れこそが人生だ」と言ったけど、それはかなり同意するんだよネ。村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」でも時と爪楊枝について書いてあった。今の自分の暫定解は死ぬというのは、精神(魂)としての時が止まること。すなわち、その止まる瞬間の状態が固定されて永遠に続くことだと思ってる。死ぬ直前に笑顔な人は、その笑顔な状態が永遠に続き、、悔やんで死ぬ人は、悔やんだ状態にずっととらわれる。恨んだ人はその空間。それが地獄と天国じゃないかって・・・


「いかなる問題も、それを作り出した同じ意識によって解決することはできません」
これに一番感銘を受けた。まさしくその通り。だからこそ時が必要になるのだから。けど、意識を変えるものは何? 時が立てば意識は自然と変わるの? そんなに世の中、うまく出来ているのだろうか。気持ちは確かに落ち着く。けど、物事の視点というか、立ち位置は苦労しないと変わらないと思うなぁ。可能であれば、意識の変え方についての示唆も欲しい。


「わたしにあるのは、ラバのような頑固さだけだ。いや、それだけではない。嗅覚もだ」
この本の中で、唯一の前面に出てきたアインシュタインの言葉。けれど、これはかなりキツイ。嗅覚と言ってるけど、要はセンスの事だから。間違った方向に頑張っても無意味だと言っている。確かにこれこそが世の事実だとは思う。アインシュタインは何も間違った事は言っていないけど、キツイ。嗅覚かぁ・・・・。よく、「物事の良し悪しは良いもの見ないと分からない。悪いモノばっかりを見ていても良いものは分からない」とは言うけれど、それは正しいとは思う。

ただ、判定が出来るようになる事と嗅覚が身につくことの間には、まだまだ距離がある。大事なのは細かい感覚。大雑把な入力から嗅覚は生まれない。人が同じとみなす所に差を見つけれないと、嗅覚も糞もない。けど細かい感覚だけじゃまだダメなんだよ・・・ だから、もう1歩アインシュタインには踏み込んで欲しかったぁ。


ということで、文句が多く見えるかもしれないけど、そんなことは無い。久々に腹の底から感銘をうけた。皆さん、書店でぺらぺら見てみてはどうでしょう。ディスカバリー刊 「アインシュタイン」です。

ちなみに隣に同じ出版社の「イイ男の見分け方」という内容の本があった。軽く立ち読みしたけど、結構面白かったです。「1人暮しの男の家に行ったらトイレをチェック」とか、この世にある男の見分け方の集大成みたいな本。

けどね、それだけじゃ不十分なんだよね。書いてある事は正しい。あの本の言うとおりにすれば、悪い男・詰まらない男には捕まらなくなる。けど、あの本に書いてある事を全部守ったら、該当する男がいなくなるぜ。そしたら待ってるのは一生独り身じゃん。そんな意味では、幸福をもたらすのか不幸をもたらすのか謎だなぁ。うちのマザーがあれだけ出来るのにさっさと結婚したのは、「男はアホだと達観して、過剰な期待を抱かない」だったからだと。うちの会社にバリバリの海外エリートの女性もいるけど、やっぱりもう50歳を過ぎて結婚は無理だろうと思う。そして両者を見てると、どれだけシングルライフを楽しんでいても、どれだけ次男がアホでも、やっぱり「男はアホだと達観して、過剰な期待を抱かない」方が正しいとは思う。

「ちょっといいなぁと思った男は全員向こうから声かけてきた&二十歳までに男ってのに結論でてた」とほざく人がそんなに他にいても困るので、ここでアドバイス。「どれだけスキであっても絶対に譲れないラインを一つ決める」「それ以外は直して行く意志があるならOK」 この二つだけじゃないかな。結局、オヤジは今では何処に出しても恥ずかしくないほどになったから、、昔どれだけ「選んだあんたも悪い」と思ってても、やっぱり正しかったんだなぁ・・・って思う最近かもネ。

ただ、「絶対に譲れないラインを一つ決める」ってのは結構しんどい作業なんだよネ。何よりも強さがいる。そんな意味では、やっぱり一周して、ここに来る。そんな今日この頃です。


べつにマザーからとやかく言われた記憶は無い。単に、「結果はいいから、努力はしなさい」としか言わなかった。けど、その努力ってのが一般的に言えば「死ぬ気でやりなさい」ってのと同義語なんだよネ。あの頃から密かにそう思ってたけど、やっぱり今でもそう思うぞ。マザーの強さが何処から生まれているのか、分かっているようで、よく分かってない。ただ、周囲には「あれは化け物だから」って言ってる(笑 そんななんなです。



ということで、いちゃもんつけているように見えるかもしれないけど、違うよぉ。かなり良くまとまった本だと思いました。両方ともお勧めですネ。

そうそう、もしここに来てる人の中で子供がいらっしゃる方がいるなら、一つアドバイス。「もし子供に読ませたい本があるなら、トイレに置いておきましょう」 小学生も高学年を過ぎたら、親が読めという本ほど子供は読まないからねぇ。けど、若いうちに読んでおいた方が良い本があるのは確か。そんな場合はトイレに本棚を置いて、そこに本を置いておくのがお勧めです。何故かって、トイレにいる間はだって手持ちぶたさ。実家はそこら中に本が溢れてて最終的にトイレまで占領してたけど、やっぱりあれは悪くなかったと思う。食堂とかにおいてあってもわざとクサイ。自分に子供ができたら、それだけはやろうかなぁ、、、って思うから。あと、「ハードカバーは親がお金をだしてくれる」というルールも真似しようと思ってます。やっぱり普通にしてたら子供は本を読まない時代だと思うから。漫画(っていってもいいのも凄くあるけど)じゃなかったら、親が金を出すというのは、なんか我が家のルールだった。けど、結局、村上春樹ぐらいだったような・・・

あ、そうそう「意志」ってのは僅かでも結果が出ているものに対して使います。全く変わってないなら、意志じゃなくて「そんな気分の時もある」でイイと思うよ。

最近は両親と忌憚のない会話をしてるので、とりあえず聞いてみました。そしたら、「器用貧乏になるんじゃありませんよ」と俺のエゴが始めて出たときに一喝したばーちゃんに「結婚しなさい・働き続けなさい」と言われて、それだけは守ってきたらしい。そういう連綿性が、人間には必要なのかもね。もちろん我が家の10箇条とか言われても困るけど、一つぐらいなら守るでしょう。それが家が伝える無形文化財。


<Home>