Marvin Gaye
偉大な等身大
[2003/05/24]

聖と性の体現

と言われるMarvin Gayeだが、彼がその当時のSoul Musicに持ちこんだモノのインパクトは、未だに自分には分からない。聖は薄くなって、性は濃くなった90年代R&Bからハマった者として、性を歌うのこそが当然と思っていた面も大きい。けど、確かに彼のアルバムを聴けば聴くほど、

求道者
と表現したくなってくる。それは全てのSoulアーティストに当てはまると思うのだが、Marvinの求道の方向性に「私的な愛」があるのは、聴きこんでくにつれて感じてた。未だに《What's Going On》 《Let's Get It On》 《I Want You》 《Here,My Dear》しか持っていないけど、どのアルバムを見ても感じます。

求道者としての面が一番でてるのは、やっぱりこのWhat's Going Onだと思う。前にジャケコーナーで「瞼にうっすら浮かぶラインが、どのような目の閉じ方をしてきたかをうかがわせる。そんな所に表情の深みは出ると思います」書いたけど、ホント苦悩と優しさが何層にも重なったような皺を持っていて、ジャケのみで買ってイイと思う。 自分は19歳の時に初めて聴いたけど、全9曲がまるで1曲のように聴えて、ホントにショックだったのを今でも覚えてる。

何やかんやで、23歳を過ぎて、やっとこのアルバムに浸れるようになった。
やっぱり4:save the childrenまでは、ホント一つの曲といってもいいくらいの統一感&流れがあると思う。1:What's Going On , 2: What's Happening Brother, 3: Flyin High(In the Friendry Sky), 4:Save The Childrenとタイトルを眺めるだけでも一貫性があるから。 そんな意味では、Best盤を持ってる人も、ぜひぜひこの4曲に浸って欲しいと思います。

そして5:God is Loveから「Marvinの愛」とも言いたくなる世界観が始まると思う。その山場はもちろん6:Mercy Mercy Meでしょう。この時期に環境問題をとりあげた先見性が賞賛される曲だけど、個人的にはあくまで「愛の枠を広げて行こう」という姿勢に一番感銘を受けてます。環境問題は、容易に特定できない難しさがあって、どうしても世界相手に非難をする曲が多かった気がする。その点からいって、非難が微塵にもない本曲の方が格が上じゃないかな。サビでのOhh MercyMercyMeの声の表情は、Soul山脈の頂きの一つ

7:Right Onから一転して個人的な世界観が始まる。ここにはMarvin本人しかいないと思う。8:Wholy holyが一番等身大の求道さを表現してると思う。1:What's Going Onとは同じ求道であっても、立つ地面が違う。こちらはあくまでもMarvin自身の場所から歌い上げてるから。9: Inner City Blues(Make Me Wanna Holler)もタイトルから凄い。R&Bといいながら未だBluesは全く分からないが、このBluse感は飛んでると思う。「畑の明るさ」と思ってた自分は単純だったです。「都会生活のブルー」とそのままだなぁ、、、って思う。この曲の終わりで、循環するようにmother motherと歌う点が、示唆的なのだと感じる。ベトナム戦争が終わった後にやってくる苦悩の形を見据えてたのかな・・・・



私的なMarvinが一番でてるのはこのアルバム。1:Let's Get It Onから明るくて、ほんとこのジャケそのまんまの雰囲気。一番好きなのは2:Please Don't Stay(Once You Go Away)かな。やっぱり同じエロでもこっちのフェーズの方がピュアになるから。「どろどろエロ」と「ぴゅあエロ」の差は限りなく大きい。そして性といわれるMarvinの本作は、ほんと「ぴゅあエロ」が詰まってる。

3:If should Die Tonightも、このフェーズ最高!!!!Jaheimの"just in case"もこれを参照したのか同じフェーズだが、やっぱり大御所の方が凄かったりする。この曲を流しながら、「君と出来なきゃ死んじゃうんだ」って言えれば、上手く行くかもよ♪ 以前に「簡単に言うと「土下座するから一発やらしてくれ」ってのがイイ意味でのアホ」書いたけど、やっぱり90年代よりもSoulの時代の方が何から何まで凄い!! って、過去の名作にこんなこと言ってイイのか分からんが、「今でも使えるコト」 これは凄く大事だと思います。こっちは拝んでるアルバムが欲しい訳じゃない。きっとそっちの方が天国のMarvinも喜んでくれるハズ。

4:Keep gettin' It Onはタイトル通り。ここまで浸れていれば、この曲もすんなり来る。そして5:come get to thisからちょっと雰囲気が変わると思う。come hereと呼びかけているように、そんなフェーズ。順序的には本曲が1番目に来ると思うが、Let's Get It Onを1曲目に持ってくるのが大事なのだろう。Marvinがそう言うんだから、その通りです。

タイトル通り、遠恋してるカップルには6:Distant Loverでしょう。本アルバムの中では一番聖に満ちていると思う。そんな意味では離ればなれも悪い面だけじゃないと思う。燃え上がってる時は切ないくらいの距離があった方がいいかもね♪ 7.You Sure Love to Ballは喘ぎ声が入ってるぞ。こんなのが問題作たる所以かなぁ、と思う。90年代の喘ぎ声&エロエロ声に慣れた身としては、ささやくように優しく歌うMarvinの声が凄く印象的です。 8.Just to Keep You Satisfiedはドラマチックな展開の曲。バックコーラスでのUhh Babyはホント一聴の価値があります。



このジャケットはホント感激ものです。躍動感がダイレクトに伝わってくるから。リオン・ウエアがアルバム丸ごと提供したことでも有名なI Want Youです。やっぱり1曲目のタイトル曲が最高。UPの曲なのに不思議と静寂感があると思う。そんな意味で、自分の中でも重要作品。ちょうど1年前に買ったのだけど、その頃から直接来た。

2:come live with me angelの方が求めている感覚が強くて、こちらの方が女性陣には受け入れられると思う。I want youの方はStevie Wonderの"Golden Leady"と同じで、最終的に女性の居場所が無いと思う。あの曲は「祭り上げフェーズ」と言えたが、本曲はまだ言葉に出来ない。よくよく聴くと普通のミドルテンポの曲なのに、全体から疾走感が漂ってる。そこが凄いと思う。

インストの3:After the Danceの音の重ねぐあいは今でも十分に通用するんじゃないかな。4:Feel all my love insideもミドルの佳曲。この曲も女性との距離は遠いと感じます。喘ぎ声?も入ってるのになぁ。そんな意味では、突き詰めるほどに不思議さが出てくるアルバムです。

7:All the way 'roundが一番普通に求めてると思う。これが一番すなんりくる。Ohh I Miss You Baby, Ull I Miss You Babyとか歌い上げてるもんネ。けど、《性》の部分が少ないのは本作全体の特徴かな。8:Scince I Had Youは曲というより長いイントロっていう感覚です。後半曲の一番の山場が9:Soon Till Be Loving You Againです。本アルバムの中で一番泣きがあると思う。ホントにMavinは譲り受けた作品を自分のモノとしてるよ。偉大なアーティストってはそこまで出来るのか・・・。 11:After The Danceで Dance Me, Baby Common,I Want You〜〜〜と言ってますが、こちらはホントに女性に捧げてます。やっぱりこっちの歌いっぷりの方が安心できる。けど男には1:I Want Youも必要不可欠だと感じる。きっと「男には女以外の本気で追っかけるモノが必要だ」という結論になるからかな。だから疾走する《聖》とでもいうべき作品 (続きはこちら



Marvinの私的な作品というよりも、超個人的な作品が本作です。他に比べてジャケはイマイチなのだが、P2S2H2としては本作が一番のお気に入りです。Mavinの等身大は本作でこそ味わえると思う。1:Here My Dearから優しくて明るい。このタイトルでこのフェーズなら最高です。 2:I Met A Little Girlは1曲目よりも優しいんじゃないかと思う。まるで、「離婚で別れた娘にしてやれる精一杯の優しさ」もしくは「幼い頃の出会いを振り返ってる」って感じがする。

3:When Did You Sotp Loving Me, When Did I Stop Loving Youが光のMAXだと思う。Let's Get It Onに納められていても違和感が無いのだが、より優しさを感じます。6:Everybody needs loveもかなりナイス。ここら辺はこちらに書いたので、重なるのは省略します。

1年経って聴き直した時に新たな発見があるとやっぱり嬉しくなるよネ。昔は、2年、3年後に聴き直してやっと分かるアルバムもあったけど、最近は時間が短くなってる。けど、やっぱり1年前に買ったアルバムを引っ張り出して聴き直すのは大切な儀式です。で、やっと見えてきたのが13:Falling Love Againです。

まさしく9:Anna's Songと対称の関係
アルバムの最後の方にひっそり納められているけど、このサビのFallin Love Againの輝きは凄い。ホント感動ものです。もっと前面に持ってきてもいいと思うのに、ここにこんな形で収録した事。そこにMavinの気遣いを見た気がして、ちょっと笑ってしまったw うん、そのまんまの等身大です。

Fallin Love Again!!
混線した恋愛が終わった果ての男と女に本曲は本気お勧めです。って、Anna's Songほど混線してたらマジでヤバイと思うのだが、そういう事は、人生、一回はあるかもネ。 そんな意味では、現実世界のリアルな救いはFallin Love Againだと痛感してしまった。落ち込んだ場所で逃げず、何年も耐えてトンネルを潜り抜けた人は、同じかそれ以上の出会いが待っていると、、、今は思う。


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