TONI
"Libra"
風雪を経て磨かれた彼女らしさ
[2005/12]

「トニブラがティンバランドのレーベルに行く」と読んだ時は微妙に迷ってた。合うのか分らなかったから期待はしてなかったけど、失望でもなかったから。この5作目はあっという間にCD屋の棚先から移動され、今じゃ試聴もできないと思う。そんな扱いを見てると、確かに売れない作品だから当然とは思う。けど、今までの彼女の作品を持ってる人は絶対に聴くべき作品です。この歌こそが、彼女らしさの極地であって、この歌世界は、MaryJ.だろうとAngieだろうと絶対に歌えない。本HPはこの曲と重ねられる女性のみを信じるかもしれない。そういいきってしまうだけの作品になってる。本作品をこれだけ誉める人も他にいないと思うけど、、、

まずこのジャケについて。
ブリトニーならアリだけど、トニブラの歳になってやるポーズじゃない。けど、良く良く見ると表情がいいんだよね。ちょっと泣きが入ってて、歳相応の深みがある。一番評価が分れるのが、中ジャケのThank youと書いてあるページの写真。これを格好つけてると思った人は、「表情」を読み直しです。確かに昔のモニカのような化粧品のポスターみたいなショットとだけど、全く違う。人によってはこちらのカッコつけ写真と同類に分類しそうだけど、それも違う。この写真はMaryJ.の4thの写真の次にくるレベル。それ位に価値があります。確かに整形してる。金かけた写真になってる。けど、彼女は今まで誰もが歩めなかった道を歩いてる。だから他のネガティブを全て押さえ込める輝きがある。女性なら部屋にポスターとして張れるレベルだと思う。そこまで誉めるのもあのMaryJ.のショット以来だ。

1:Pleaseは3rdでヒットしたHe wasn't man enoughと同じレベルが出てる。この点だけで4作目は越してる。けど、あの4作目を越さなくては誰も買わないからなぁ。Timのレーベルに移った良さが出てると思ったのは、2:Trippin'です。バックの男性の声が凄くいい。この時点で、次の出張で買う気になった。そして数週間後に来たら、見事に試聴コーナーがなくなってたが、、、やっぱりいい作品なのに誰も誉めないと気合入るから。逆にRaul Midonは店で強力Pushしてるから、後回しになってます。

3:What's Goodは今までに無い魅力が出てる。ホントにTimのレーベルか? この曲は女性のコーラスがいい。ホント、バックのコーラスがいいなんて、トニブラでは初の気がするよ。Morningと歌い上げる明るさがイチオシ。4:Take This Ringは苦手なんでパス。けど、トニのアーシーな声とは合ってる気がする。4曲目と同じテイストが続いたら困るなぁ、、、と思ってたら5: Midniteだもん。この時点で、傑作だと確信しました。まったく、Brandyの4作目とは大違い。

前作は、旦那と組んでイマイチだったけど、本作を経てトニブラの魅力は誰にも脅かされないレベルになった。今後はプロデューサが誰であれ、イイ曲を歌うだろう。それでこそ生粋の歌手だ。6:I Wanna Beも明るさがあっていい。この時点で、傑作の誉れ高い3作目に並ぶかも・・・って思ってた。7:Sposed To Beも凄くいい。けど、信じられないのは8:Stupidです。

私は愚かだった
こう歌える歌手はトニブラだけです。MaryJ.もAngieも決して歌う事は無いでしょう。別に彼女らに歌って欲しいとは思ってないが、マライアが歌えないのは問題外。幼い頃はどちらかと言えばマライアのファンだったけど、今は絶対にトニブラです。ずっとMaryJ.、Angieに続く位置づけは決まってなかったけど、この曲でトニブラで決まりです。それが本HPの女性TOP3

何よりも、聴いてると泣けるんだよね。この泣き同数はStevieのLatelyに近いかも。だから、厳密に言えば涙は出ない。やっぱり本人が泣いてない曲は、聴き込むとこちらも泣かない。直接泣いた先の状態に連れてってくるから。

前、後、右、左
何処を向いても自らの愚かさの結果が山積みになってる

前が未来を、後ろが過去を、右が女性関係、左が友人関係だとして、ホントに山積みになってる。薄々気づいていたけど、この事実をはっきりと正面から認めなくちゃいけない人には、この曲が必要なんだろうね。


本曲は男性陣にとってのSisqoのImcompleteと同じだけの位置づけです。あの曲は全米No1になったけど、本曲はこの先、隠れ名曲のままだろう。SisqoのImcompleteはあの歳で自己の不十分さを真正面から認め受け入れた。それが若い歳だからこそ、未来の輝きを召喚してる。けど、トニブラは違う。どれだけ己のStupidを受け入れても、未来は直には明るくなってない。それが歳というものであり、時の流れは全ての生物に厳しい。けど、この先、トニブラの魅力は減らないだろう。それがStupidと歌えないマライアと根本的に違う。

「男のSink」で書いたんだよね。
あのさ、別にそんなに固まらなくていんだよ。「あの頃の私は若かった」で。この台詞が男の専売特許って世界はそのうちになくなる。って、「若い女はアホ」 とは流石に言えないし、言うつもりもない。今まで生きてきて、そう感じたことがないから。imcompleteに対応するMaryJ.の曲は無いと思う し、それが当然だと思う。けど、I can Love Youを歌えない女性には何かが必要で、それはMaryJ.でもなく、Sisqoでもなく、その場所にいける女性歌手を、自分は未だに知らない。

[2004/06]

ごめんなさい。こう↑書いた後に、トニブラの3作目を聴きこんでました。「若い頃のトニブラはアホ」というつもりは無いが、やっぱりふっと彼女が浮かんだので・・・ずっと一番暗いと思ってちゃんと聴きこんでなかったけど、この12:Never Just For A Ringが一番泣いていて、一番辛さを浮かび上がらせている。聴きこむほどに男の影を感じない曲で、トニブラが体を張って掴まえた結論があると思う。I Can Love YouやMad Issuesから遠い女性ほど、この曲が側にきてくれると思う。曲の中盤から歌いこむ所が圧巻です。
だから、そんな意味でもこの曲は凄く嬉しかった。

続く、FinallyもShadowlessも信じられないほどいい。特に、最後のShadowlessのFuuが凄い。AngieのあのFuuの次にくる。10曲のアルバムだけど、完成度と充実度は信じられないレベル。3rdに98点をつけたのだから、本作は100点でいい。それ位の価値がある。男性が自己を愚かと歌う曲は多い。ホントに男が愚かな状態が多いから当然だと思ってる。けど、一部の女性は自らの愚かさを正面から認めないと明日は来ないんだよ。もし、自分自身がその状態にいると心の奥底で気づいた女性は、この曲と正面から向かい合う必要があります。

貴方の代わりトニブラが受け入れてくれているから
貴方は彼女のSoulに寄り添うだけだから
そしたら涙を超えて、朝日が見える丘まで連れてってくれるから



なぜLibraというタイトルにしたのか分らない。古代ローマの重量単位らしいが、この作品こそが、彼女自身が心の底から認めることのできた「彼女らしさ」なんだろう。確かに今まで色々あった。Lafeceの秘蔵っ子として映画ブーメランのサントラで鮮烈なデビューを飾ってから、整形、自己破産、セミヌードと。けど、その全ては本曲を歌うための試練だったのかもしれない。

だから間違いなく同性向けの作品です。けど、愚かな男性は聴いた方がいいかもね。男の愚かさに引っ張られて女の愚かさも出てくる。それが本HPの結論です。


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