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奔馬のような吼えっぷり | ||
[2005/05/01] 「国内初のインディーソウル専門レーベル「スロウ・ダウン・レコード」が送り込む、第一弾リリースは、話題のゴスペルソウルシンガーソングライター、テレルのセカンド・アルバム」書いてあって、おっと思った。吼えそうなジャケもナイス。口の微妙な開き具合や目元も鋭くないから、顔で押せないタイプかな。とかなんとか思ったけど聴き始めたら凄かったです。1曲目はintroで、2:Makes No Senseを聴いた瞬間に「きたー」と思った。それ位の吼えっぷり。その時に「奔馬」と思ったんだよね。シャウターに奔馬という形容詞は激誉め言葉です。そのまま2曲目聴き終わらないうちにカウンターに持って行っちゃた。 この吼えっぷりだけで売れる。それ位の喉してる。 馬の後ろ足のむっちりした筋肉が浮かんでくる どんな声やんとつっこまれそうだけど、こんな感じです。去年のTshawn Kingから泣きを抜いたような声で、Aaron Hall達のような太さはあまり感じない。2:Makes No Senseはテンテコなバックトラックだが、彼の声で押し捲ってる。3:I CheatedはしょっぱなにMarvin Gayeと歌ってる。メロディーラインはそこまで良く無い気がするが、サビで吼えれば形になってる。4:Only Oneはこのタイトルだからね、吼えまくってくれないと。5:Thinking about Youは低目に声を集めてる。結構聴かせる。 6:Baby U Don't Love Meは結構上手く作ってる。裏方時代には曲を提供してたというだけあって、殆どの曲を自作してます。結構上手いと思う。ネオ・ソウルの男性歌手ほどでは無いが、シャウターでこのレベルなら全く文句無しです。特にBaby U Don't Love MeはSlowバラードで声を上手く生かしてる。けど、タイトルのような状態に落ち込んだ事は無い。「何度もアプローチしても振り向いてくれないじゃねーかよ」ってフェーズで、付き合って尽くした後のフェーズじゃない。そういうのはCaseとかを聴きこんだ人なら断言できると思うが。 7:The One I Loveもslowだが、歌いっぷりも上手い。8:Matter of Timeは抑えた状態で始まり、少しずつ吼え始める。この曲を車で大音量で聴くとかなりイケる。この曲を一番気に入った。って、本当のことを言うと、最初に聴いた時は「本気で好きになったことは無いんだな」と思った。けどなぜか連続リピート。振られて夜中に大音量で聴きたい曲としては、Marc Nelsonと同じ位にマッチすると思う。この曲さえ聴けば、振られて引きこもる事はないと思うから。逆にMarc Nelsonのイジケてるジャケは、うーん 曲としては底が出てるが、吼えっぷりが男らしさをKeepしてる。K-ciもこのフェーズで一曲ぐらい歌えよ、マジモン。 9:Hard For Meとかもそう。7,8,9があるから単純に吼えてるアルバムに終わってない。もっと深みが出てる。「どん底」な曲を取り上げてる本HPからすると「底」ぐらいだが、一般的には充分なレベル。このHard For Meも凄い。少し早口な歌いっぷりに不思議と哀しさが載ってる。かなり誉めるポイントだと思う。こういう表現方法は始めて聴いた。アルバムの中で一番クリエイティブさを感じる。Tashawn Kingは声にネイティブな泣きがあったけど、曲としては泣きは無かった。TERRELLの方は泣きの曲が多い。それがいい。 振られて吼えたくなったら、間違いなく本作です こんな事を言うのはP2S2R&Bだけというのはもう分かってるw けど、ホントだよ。K-ciはFFFFで怒ってるだけだし、Aaronの声は悲しみが載らない。TransitionsもLiberty CityもTashawnもそういうフェーズは無い。SisqoはHolding YoouやSinkでど真ん中から歌っているけど、あれを本気で聴きこむのは薦めない。誰でもあんな状態には一度で充分だろう。だからTERRELLがちょうどいいと思う。このレベルに浸れないのは逆に問題かもよ。 10曲目のinteludeでフェーズが変わる。11:With Meは曲として面白い。もうちょっとバックの音を練れる気がするが、ここら辺がインディーの限界の気がするが、自作にしてはよく出来てる。12:Everythingは明るさが見える曲。MaryJ.もそうだけど、everythingという単語は終わった後の明るさを担う事が多い。everybody needs somebodyからもう一歩踏み込むとeverythingになるのだろう。 灰色の世界にふっと風景の色が目に映って、あぁeverythingなんだ そんな瞬間なのだから。MaryJ.ほどの傑作では無いが十分に味がある。本当の事を言うと、everythingの意味はずっと分かってなかった。MaryJ.のあの曲はそこまで惹かれてなかった。けど男性陣が歌ってくれて初めて意味が分かった。マクナイトとしては灰色の世界を一日で終わらせる為に直接心に切り込んで行くからなぁ。All in Love is Fairに行って、その奥に踏み込むとKarmaに行く。だからAngieは絶対にeverythingとは歌わないだろう。AngieはKarmaに行くタイプだし、逆にMaryJ.はKarmaとは一生歌わないんだろうね。 14:Loveは総決算のような曲。しょっぱなからバックで吼えてるLove Loveが凄くいい。最後もアカペラで締めてる。色んな意味で好感が持てる作品です。 本作のおかげでeverythingとkarmaがタイプで分かれる事が分かった。「自然の一部としての人間と、その人間が抱える想いを見つめるか」、「生まれて死んでいく連綿としての人間と、その人間が抱える想いを見つめるか」、その違いなのだろう。そんな意味ではTarrellには感謝してます。Hip-Hopが苦手な男の子もTashawnかTarrellは聴いておきましょう。じゃないと「本当にキンタマ二個ついての?」って言われちゃうよ(そう突っ込む女性にも会ってみたいがw 色々とシャウターも聴いてきたけど、僕が本当の所で聴きたいのは女っ気が零のK-ciなのだろう。それがあり得ないのは世界中が知ってるが、あの細さから吼えまくるK-ciはやっぱり凄いと改めて思った。ちなみにK-ciとJoJoのヘイリー兄弟はカッコよくは無いが、K-ciはかなり顔で押せるタイプだと思う。JoJoはお茶目な顔してるが。 |