Mary J. Blige
"The Breakthrough"
湿り気のない吼えっぷり
[2006/05/21]

最初の頃は、このジャケとU2と作った12:One Mary J. Bligeが不満であまり聴き込まなかった。昔のようなどん底感覚も無かったしね。けど一曲目から吼えまくってる。昔と違って何処にも行けない恋愛感情をあまり感じないから、最初は気づかなかったです。今までの彼女は「泣きながら叫ぶ」というのが一番絵になってたから。本作はその正反対。涙が一滴も見えない歌世界は、湿り気が無いというよりも、Coolといえるほどの乾いた感覚がある。

前作:Love & LifeがMy Lifeと対になるのなら、このアップを多く集めた本作はまさしくWhat's the 411と対になる。もちろんWhat's the 411ほどは音に新規性が無い思う。けど、あの時以上に作品の中でMary.の存在感がある。個人的にはWhat's 411にMaryJ.らしさは感じないからなぁ。このBreakthroughした先の吼えっぷりが、MaryJ.の作品である事を伝えてる。

けど、やっぱりガツンと来るのは4:Be Whitout Youなんだよね。この吼えっぷりがBreakthroughした後の地平線だと感じる。やっぱり彼女は「今回はDeepさは出さないようにしよう」とか、アルバムのテーマを先に決めて、それに合う曲を作るってスタイルじゃないと思う。あくまで、その時々の素直な自分自身を全開に出しているだけで、それ以上は全く歯牙にかけてないんじゃないかな。

私の人生を振り返ってみると、あの時点で蹴飛ばしておけばよかった
こうとしかいいようのないBe Without Youだと思う。それを痛みゼロにして吼えまっくている時点で、確かにBreakthroughだよ。吼えっぷりは今までのどん底の曲と同じだけど、湿り気がゼロだから普通のUPとしても聴ける。普通のUPとして聴くと、coolさが見えるのも流石だと思ってる。

結局の所、恋愛ってのは別れた後に「あの時にちゃんと取り上げておけばよかった」って痛感するもんだと思ってる。それを最初に感じたときは、せっかく上手く行ってる雰囲気を壊したくなくて、「私の勘違いかもしれないし、そのうち直るかもしれないし・・・」と思って流しちゃうんだよね。そして終わる頃に流した事を後悔する。もし、あそこでちゃんと2人の間に取り上げていれば、確かに別れる羽目になったかもしれない。けど、その時点で別れたおいた方がよっぽど傷は少なかった。そんな結論になると思うから。恋愛の初期に相手にちゃんと言えない人ほど、この曲を聴き込むのを薦めます。

8:Baggageは同じ位に注目してます。この曲だけは最初の彼女の声に痛みと泣きを感じるから。Breakthroughといいつつも、やっぱりこういうフェーズの曲も歌うんだよね。MaryJ.を全く知らなくて、今から聴くのも1歩引いてて、そんな人達が聴きこんで、生き方が硬くなれるだけの作品になっていると思う。2作目以降は、恋愛Deepな人じゃないと、本当の意味で聴き込めなかった。今回は違う。この作品でファン層を拡大したというのも納得してます。

11:Cant Get Enoughも好きです。ここら辺が一周してWhat's the 411だと感じる。15:Aloneは深い。AngieのKarmaと同じレベルだと思う。16曲目はいらないから、この曲で締めて欲しかった。一緒に歌っているDave Youngもいい味出してる。アルバムタイトル曲はないけれど、Breakthrouthと言っているけど、確かにWhat's the 411を思い出す曲も多いけど、やっぱりMaryは彼女の歩幅で、いつものように歩き続けてる事が分った。

こんなに吼えまくっていいのかよ・・・と思うのは、今までのアルバムと同じなのに、何故か今までMaryに縁のなかった人でも聴き込める作品になってる。それこそが本当のBreakthroughなのかもしれない。


このアルバムを流すだけで「私は男で傷つく気は無いから」って自己主張できると思う。最初のデートで流されたら、相手の男は結構凹むかもね(笑




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