Kenny Lattimore
"from the Soul of Man"
爽やかさの源泉
[2003/02/09]

Kenny Lattimoreが90'SのR&B男性歌手の中で一番爽やかというのはコンセンサスなのかな? 未だ確定でないなら余計に本HPはPUSHしていくつもりです。処女作でも3作目でも流してみれば一目瞭然だと思うから。 以前に処女作の"For You"を車で流してたら、一瞬会話が止んだことがあった。R&Bを知らない他の3人が聴き入ってたから。この曲のロングヒットで成功したとの話だけど、確かにそれ位に強力曲です。爽やかで強い曲なんて滅多にないよ。
加えて、"Where did love go"も個人的に押したい。恋愛の終わりのフェーズで、これだけ爽やかさとGroove感が詰まった曲を他に知らないから。爽やかさを出すほどに好きの度合いに疑問が出て、気持ちを伝えるほどに執着感が強くなる・・・そんなフェーズなのにね。それを見事にGroove感に持っていくのが最高です。だからこそLoversセレクトには納められなかったから。

そんなKenny Lattimoreの、自他ともに認める内向的なアルバムがこの2作目。ジャケットとタイトルも激ストレートにくる。ここまでの直球は相手に引かれる気もしるし、爽やかさのフェーズをはみ出てると思っちゃう。だからこそR&B-Timeで聴きこんだのですが、本当に凄い作品だった。R&Bの中に爽やかさを探す人の終着駅になること間違い無しです。処女作と違い、セルフプロデュースが多い。当然、個人的な作品。だからファンは掴まえても処女作以上には売れないんだろうね。これは、どうしようもなく全てのアーティストがたどる道だとは思う。けど3枚目を作れる人と作れない人に分かれるのも事実。その分岐点がどこにあるのかは未だちゃんと分かってないけれど、コンセプトの有無じゃないかなと思う。売れない作品であっても、これだけ揃っていればやっぱり3作目まで行けるんじゃないかな。

アルバムの前半は、爽やかさと内向性の間で揺れ動く波紋を見てるかのよう。声のトーンも低くて味がある。処女作だけでなく3作目よりも声の表情が多いんじゃないかな。2:Trial Separationとか前作の方向性の延長上で、3:If I Lose My Womanも深みのあるバラード。4:Make Believeもいい線いってます。数少ないミドルの5:Just Can't Get Over Youも彼らしい感覚。カバー曲の6:I Love You More Than You'll Ever KnowはホントDonny Hathawayを意識した歌い方。Kenny Lattimoreがどんなタイプなのか良く伺える曲。かなり歌いこんでます。 もう一つのカバー曲9:While My Guitar Gently Weepsもかなり本人にハマってるや。

本人の曲で一番歌いこんでいるのが10:Heaven And Earth。
`I'll move heaven and earth'とサビで訴えかける、、、そんな彼らしさに満ちた曲。このアルバムの重心だと思う。彼がどんな恋愛をするのか明確に出てる。「君の為に天国から地獄まで」これをここまで深く歌える歌手はそうざらにいない。
けど本当に凄いのは12:Interludeに続く、13:Well Doneだと思う。アルバムの実質最後に納められたLordに捧げた曲なのだが、これまで自分が聴いてきた曲と根本的に違う。これが爽やかさの源泉なのか!!!と驚愕したなぁ。

'When call you my name  I want to hear you say  well done, well done'
この詞は人の根源的な欲望を見せていると思う。一番爽やかな人が、神に対して一番直接的に望んでいる。けど冷静になって考えてみると当然かも・・・って思う。誰だって何処かで呼吸をしなくちゃいけない。欲望が無くなる事はあり得ないし、それを無くそうとも思ってない。ただ、相手にふさわしい形にしたいだけなのだと。だから、爽やかさを突き詰めて行くと、本当にどうしようもなくなる部分が出てくる。

相手が何を望んでいるのか分かっても・・・選べない。好きになるほどに選べない。それは誰しもの当然だと思う。(好きじゃないから選べないというのは基本的に本HPは横に置いてありますw) 爽やかな人はそれが選べるのだと思う。そこが大きな違いだと。 けどそれを選んだ時点で、やっぱり自身の中で無理してるよね。今は貯めれても、いつか破裂しちゃうよね。人はそこまでは強くないよ。だからこそ、Kenny Lattimoreは、この詞のように最後に歌い上げてるや。

Lordの前では、恐ろしいほどに、どんなアーティストでも態度が同じだった
いや、遊んでるアーティストほど懺悔してたかなw けど日本人みたいに「お願い」する人なんていなかった。何処まで行っても、皆、感謝しかしなかった。だからこそ彼のこの態度は驚異的。ホント信じられないや。それに、この曲には認めて欲しいという欲望よりも、どうしてもこう言ってしまう人の性が、、、泣き声と共にある。だからこそ、Kenny Lattimoreは真に爽やかな人なんだろう。

Heaven and Earthが示すように、相手に捧げることが出来たとしても・・・
Well Doneが示すように、捧げていることを黙っている
これは、本気で難しい・・・・


<shout>そんなの、人ができるんかよーーー</shout>
って叫びたい今日この頃だよ、マジモン。道はここなのね、、、、分かったよ・・・
ということで、あいも変わらず、先は長いと痛感した今日この頃です。

処女作や3作目よりは、売れないのは納得できるアルバム。強力曲が10や13じゃ流石に売れないよ。けど、ホントにこの2曲は聴く価値はあります。
こういう出会いを繰り返すと、彼らのLordの感覚がふっと分かる時がある。彼らにLordがあるように、僕らにはR&B-Soulがある。直接Lordを信じることは出来ないけれど、彼らが信じてる姿なら信じることができるや。
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