Keith Sweat
"Didn't See Me Comming"
そりゃ確かに《いじける》よなぁ
[2004/12/10]

正面顔ジャケは結構好きだけど、発売当時にこのジャケを見た時点で買う気がなくなった。昔のエロいジャケもそこまで好きじゃなかったが、

エロさが抜けすぎて、覇気まで無くなっている
この弱々しい眉毛と瞳を見ているとなぁ。だから、タイトルもちゃんと見なかったのだけど、よくよく見ると、随分といじけてるタイトルだと思う。「あの時、俺が側に来たのを気づかなかったよな」とでも訳せばいいのかな。唯一?気づいていたオレッチからすると、これだけで買っていいタイトルじゃないですか!! だから慌てて買って聴き込んでました。

2000年ぐらいからR&Bにハマった人は知らないかもしれないけど、80年代後半からKeith SweatはR&Bの最前線に立っていた。処女作がTeddyが作った初New Jack Swingだしね。二作目以降はその音を自分のモノにしていった。そんなKeep it Comin'。 90年代前半はR Kellyと二分してエロSlowの世界を切り開いていたしね。90年代のR&Bについて何か喋ろうと思ったら、Keithを避ける訳にはいかない。それ位の重要人物です。

けど、オレッチはずっとKeithと合わなかった。処女作の頃は好きだったんだけどね。あの独特のエロソングが合わない。その理由はまだちゃんと説明できない。「頭の上で回してる手が浮かんでくる」とは以前に書いたけど、このイメージに伝達性があるのかかなり謎です。今から説明すると、うーんと、余裕感かな。エロ+余裕感はかなり嫌いなんだよね。破綻さを抱えていたR Kellyの方に惹かれていたのは確か。あの頃の周囲を見渡しても、やっぱりKeith派とR Kelly派に分かれていた気もする。両方に惹かれていた人は、ごめんなさい、真エロです(爆 

なのに、98年にお互いが激ストレートなアルバムを発売した。ジャケからストレート。逆さにしても売れない問題作。それとことん聴き込んでいた。だからだね、扉を開いた感覚を掴まえれたのは。R KellyのR.とKeisth SweatのStill In the Gameのおかげで、僕は単純に聴き込む以上の世界にいけたから。もちろん98年はマクナイトの処女作も聴き込んでいたけど、ナッツから貰ったbmrの哲章さんのレビュー(2作目について書いてるけど、処女作への言及が多い)を手引きにしてたから。同じ地点まで行けた実感はあったけど、自分で切り開いた場所じゃなかった。

もしR Kellyにchocolate factoryがなくて、あの白ゴリラジャケで終わっていたら、このHPも変人街道まっしぐらだったんだろう。そりゃDaveとかJaheimとか沢山のアーティストについて書いてるけど、やっぱりどのアルバムで扉を開いたかは、どのアルバムでR&Bにハマったかと同じ位に大事だと思うから。

もう何度ここに書いたか忘れたけど、二人にこれだけ差がつくとは、あの頃思いもしなかった。R Kellyは受け入れられて、Keithは無理だった。そこに拘って、Didn't See Me Comin'なんてタイトルをつけてる。。たしかにこんな顔のジャケになるかも


もう2004も終わりだから、はっきり書こう。R.を突き詰めて見えてくるのは、「相手が愛想を尽かしてからじゃ手遅れなんだよ。俺みたいになるんじゃない」「この成功を蹴飛ばしたいけど、幼い頃のひもじさを思い出す度に出来なくなる。なあ、俺は手に入れたいのかい?それとも失ったのかい?」「最近、よくあいつの事を思い出す。いい女ってのは方向性にキスできるんだ。あいつがいたから今の俺がいる」「男の真の恋愛は後悔から始まる。それに逃げちゃいけない」
こんな言葉かな。その全てをあの時、言葉に出来た訳じゃない。けど、共有してた。

じゃあ、KeithのStill in the Gameを突き詰めて見えてくるのは、「SEXするには、まだ気持ちが追いついてない」「SEXするのが早すぎたから、今こんな状態になってるんだ」になるのかな? 歌詞はあくまで「もうちょっと体力回復するまで、第二ラウンドは待ってくれ」って歌っているのにね。その気持ちを載せれば大HITだったのになぁ、、、、って思う。歌詞でひねったくせに、なんでKeithはこんなに拘っているのだろう。本作の1曲目もそう。ラジオを回すごとに過去の名曲が流れてくる。総決算のアルバムとしてはナイスなイントロなのは間違いない。けど、「おいおいI'm not Readyかよ、、、」って気分。だれがどう見ても、HITしてたcome and get with meを選ぶべきなのにね。だから本作も売れないんだよ。バカだなぁ、、、って思う。けど、この曲に一番惹かれていた事に胸を張れるから、結構嬉しいのは事実。


こうやって対比させれば一目瞭然だが、R.伝える事の方が共有性は高い。「準備するまで待ってくれ」って普通の男なら、急いでパンツ脱ごうとして、足首まで降ろした時に相手に飛びつこうとして、その場でずっこける。男ってのはそんなもんです(笑 だから、その正反対を歌うKeithは共有性が激少ない。手に入れた成功に対するアンビバレントな思いを抱えるR Kellyと違って、Keithの成功にそんな面はない。だからその分だけ深みは減ってしまうし。。


本作はジャケを見てもタイトルを見ても売れないけど、収録曲はなかなかいい。Dark Child作の5:I Put U ONが一番かな。全盛期のKeithの曲に並ぶと思う。4:SatysfyもかなりのUPだしね。シングルカットしたのは、2:Thingsになるのかな。Busta Rhymes連れてきてるし。タイトルとジャケを直せば、本作で退場にならなかったのにね。けど、Still In the Gameが受け入れられなくても続いてく歌手人生はイヤだったのかも。それ位の気持ちにさせるのが、7:Real Manです。間違いなくこの曲が本作の重心。そして唯一のI'm Not Readyを継ぐ曲になってる。曲としてはそこそこ明るい。本作で退場する覚悟が傑作レベルになってる。特にこの女声のバックコーラスが最高です。

I'm Not Readyは暗い曲じゃないんだけどね。あれを聴き込むのはあまり勧めない。けど、本曲なら誰にでも伝わるんじゃないかな。相変わらず輸入盤なので、歌詞を聞き取らなくちゃいけないけど、、、、それはパスで。この歌に歌詞はいらないよ。聴くだけで、これがKeithの歌手人生の総決算って伝わってくる。この達成感を見ると、、いじけてるのはジャケとタイトルだけか。

この曲には彼の歌手人生しか見せる事の出来ない光がつまってる
発売から4年たったけど、今の彼は何を思っているだろうなぁ...って思う。今でも活躍しているR Kellyを眺めながら。。98年までは両雄並び立ってたのにね。イヤ、Keithの方が上だった。そこから6年、随分と変わったね。その差があの時の二作から生まれるのなら、Keithは歌詞をひねるべきじゃなかった。ひねるなら、本作の1曲目で選んじゃ駄目だよ。選ばなかったら、今でも新作を発売できるのだから。あそこは、どちらかしか選べない地点だったんだね。そして、全てを捨てる気だったR Kellyの方がもう1歩の覚悟があった。



Amazonでジャケを取ってきたら、、本作についてコメントしてる人がいるじゃないですか。それもReal Manを。I'm Not Readyも。ずっと独りぼっちだった俺っちは感激です。
じゃあ、被ったのでもう一曲チョイスしますね。12:Caught Upは同じくらいの重要曲です。何故って、同じ位の深い部分が共振するから。

13:Gamesこそが本当の締めになるのだろうけど、バックトラックがヘボすぎて泣けてくる。このバックトラックを消して、とことん声だけ聴きたい。スティーブ・ハフ作じゃないですか。Kiethの叫びを台無しにした彼には-100点でも足らないだろう。14:I'll Tradeも曲がなぁ。15:Only Wanna Please Wannaのメランコリックな重さを伝えるバックトラックはかなりナイスなんだけど、Keithの思いを被さる程だから。もうちょっとボーカルの音量とのバランスを考えた方がいいんじゃないかな。声だけに集中すればイイ曲だと思う。16:Why U Treat Me So Clodはタイトルの割りに心情の量が少ない。感情の出し方が足らない。ここら辺の後半曲を練り直せば、傑作アルバムになると思うんだが。そんな作品を聴きたかった。


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