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新人に聴きいて欲しい柔軟さ | ||
[2005/04/24] 基本的に柔軟さは処女作で感じるものじゃない。1stは「本人らしさ」か「HIT性」を出す事が多い。理想は本人らしさがHITに結びつく事だけど、それは激稀だから。そして、柔軟さはそれ以降の息の長さに一番関係する。なのにJohn Legendの本作だけは処女作なのに柔軟さを感じる。それが一番凄い点です。アルバムの後半部分ではキッチリ本人らしさを出してるけど、それもまたいい。前半部分はレーベルの性格に合わせているのだけど、それもまたいい。この柔軟さは何よりも社会人一年目の新人に聴きこんで欲しい。そう思わせるだけの傑作です。 本人らしさと柔軟さの両方があって初めて意味がある訳ですが、どの時期にどちらを伸ばすかは人それぞれだと思う。俺自身はとことん極端だったけど、バランス感がある人は両方を同時に伸ばすことも可能だけど。ただここら辺を全く考えてないと両方とも中途半端になる。そんな意味では社会人になって本人らしさを突き詰めていく行くのも全然アリだと思う。けど、個人的には新人は柔軟さを真っ先に伸ばして欲しい。 社会人に必要な「相手に合わせること」が出来ない人が増えている 新人担当をしてる時、そう思う事が多いんだよね。昔は元服が16歳だったらしいが、今は22歳や20歳頃になるのかな。18-20歳を過ごしている時点で、どんな人にもそれぞれの方向性を持っていると思う。けど、今の日本は「自分らしさを生かしながら、相手に合わせること」ってのを教育としてちゃんと教えてないと思う。変テコな「みんな一緒」みたいな平等思想はあってもね。「本人らしさがあって、相手に合わせることもできる」それが一番必要な訳じゃん。そういう意味ではアメリカ人と話すと、 誰でも《掴み》のある話題を持とうとしてる って感じるから、凄く好感持てるんだよね。先輩の奥方が英語の先生をしてて、水曜日は同僚のALTの方達と一緒にご飯を食べたけど、ホント面白い話をしてた。ボディーラングエッジを熱心につけてくれたから、嬉しかったです。アメリカには色んな人種がいるから、そこでコミュニケーションをしてく必要性から生まれた能力だと思う。新人教育でロー・コンテキストとハイ・コンテキストという概念を学ぶ事もあると思うけど、いくら日本がハイ・コンテキストだからと言って、それに安住しちゃダメです。聞き始めから「楽しそう」と思わせて、最後に笑いや感嘆も取れる会話のネタが必要です。それをどれだけ持ってるかは凄く大事だよ。会社に入ったら何度も自己紹介をする機会があると思うけど、そこで「おっ面白そうな新人が入ったな」って思わせるスピーチを出来るかどうか。そういうスタートダッシュが出来ると、結構楽になると思うから。 今までそんな事を気にせずに生きてきのは、全然アリだと思う。けど、今後はそこから逃げちゃダメです。そんな社会人として必要な心の準備をしようと思ったら、この作品が一番いいと思う。全作を通じて明るいのも最高です。 カニー・ウエストのレーベルから発売されたアルバムだけど、この柔軟性はJohn Legend自身の良さなのか、レーベルの性格なのか、どちらか分らない。Kanye Westの作品は聴いた事無いけど、あのお茶目自虐なジャケは結構好きです。だから両者の魅力が合わさってこれだけの作品になったのかな。 本人らしさとしては9:Stay With Youがイチオシ。一番本人らしさが出てる。この志向性が本人のネイティブと思わせるだけの空間がある。けど、確かにこれだけじゃ売れないんだよね。もちろんこれが無いとHIT性だけのアルバムになるんだけど。そんな意味では大事な所は殺さず、必要な所を伸ばしている作品です。 柔軟さとしては、Kany Westをfeatした6:Number Oneと、Snoop Doggをfeatした7:I Can Changeでしょう。この二曲があって初めてHITするから。当然そんな事は誰でも知ってるから、どんなメジャーの新人の作品にも売れ線の曲は入ってる。けど、この作品だけは 「歌わされてる感」が無い それに一番感銘を受けてます。I Can Chageの声を仔細に追っかけると、結構ポイントポイントの表情に本人らしさをだしてる。そこがやり手と言うべきか。歌うのが必要な事ぐらいはどんな歌手でも分る。けど、歌っている時に「売るのに必要だから」っていう意識が微塵にでも出たらダメなんだよね。そういう感覚が無い。だから一転して雰囲気が変わる8:Ordinaly Peapleとの連結が凄くいい。びっくりする位にイイ。I can changeの歌詞を見ると当然恋愛フェーズだが、これは社会人フェーズとしても受け取れる。そこら辺をちゃんと出してるのが傑作になった理由かな。 バックがピアノだけのOrdinaly Peapleはかなりイイ。Piano&Voiceに収録した曲と比べも独自性がある。14:Live It Upも凄い。featで誰かと一緒に歌う曲が全部イイのはかなり珍しいんじゃないかな。自分自身の方向性に対する自信が、相手に合わせることに対するネガティブな感覚をなくしている気もする。逆に、中途半端な人は一生中途半端のままなのかもネ。もちろん「自分は中途半端だった」と認めれるなら明日はあるんだけど、その勇気が無い人も多い。大学に残れなく、企業の研究部門にも行けなかったなら、その先の人生をスキルで売っていくと思うのは根本的に間違ってる。 素直に人の海に乗り出そう 1人で仕事する訳じゃないのだから、ある程度の人間関係構築能力は必須です。特にコンピュータに詳しい新人には「素直に人の海に乗り出そう」と言ってるって、この前の飲み会で自称スティービー・ワンダーのファンの部長に言っみた。「若井がそんなこと言ってるなんて、スゲー以外だ」と爆笑されましたが、しっかり変人というのはバレてますが、会社で普通にやっていくぐらいの対人能力は持ってると認められてるので、そこら辺は皆さんに心配していただかなくても、ボチボチやってます。 素直に言えば、同期のおかげも大きいな。 4年前の社会人一年目は、Soul好きのマルらのおかげで少しずつ柔軟さを身につける事ができた。振り返れば、いつも友人関係は恵まれてるや。そんな出会いが無い人もいるかもしれないけど、周囲に文句言う前にぜひJohn Legendを聴き込みましょう。社会人一年目はまだ大目に見てもらえるけど、柔軟さを身につける道を歩けなければ、いつか追い込まれていくよ。それは結構Heavyだよ。 本当の事を言えば、自分を追い込む生き方は認めるけど、追い込まれる生き方しか選べないのは努力が足らない思ってる。二十歳の頃に追い込んでいたのか、追い込まれる生き方しか選べなかったのか、それは振り返ってもよく分らないんだどね。だから、今の姿勢で証明するしか無いと思ってます。このアルバムを聴くと、その差が分ると思う。 もちろん大学時代にコンパとかで、「掴みのあるネタが必要だ」って気づいた人は全然心配してませんw 掴みのあるネタの主人公が本人自身ならAll OKです。そうじゃないなら、それで行けるのは二十歳前までってのは知った方がいいかもね。 以前に同期連中と飲んでた時に、「その話題、前も聞いたよー」と突っ込まれて、「この話題は惚れた女の娘に言うから、だから二度言っちゃった」と切り替えしてた男がいて、「うぉーすげー」と感心してしまった。それ位に言えたら文句ないんだけどね(爆 |