Joe - "and then..."
裏方に戻る覚悟
[2003/12/23]

ずっと"Better Days and then..."の意味だと思ってた。本人の内面を掘り下げた前作:Better Daysの売上がイマイチなのは、意地が許さないのか、、、と思ってた。Better Daysが発売された時、日本盤のオビには「エロエロ」とか「ムーディ」とか書いてあるけど、Better Daysにはエロもムーディも入る余地は無いよ。

遠くの夜景を見ながら、独り夜のしじまに沈んでく
のがぴったりくるアルバムなんだから。逆から聴いたって、「歌手としての達成感」&「本当に好きな相手は傍にいない」が両立している作品なのだから。

Better Daysの次の作品として、このタイトルとこのジャケで彼が何をやりたいかは一目瞭然でしょう。Better Daysの世界を踏襲しつつ、もう一歩掘り下げること。だけど、残念ながら失敗してる気がする。チグハグ感が漂う曲を聴くと、なんかなぁ、、、って思ってた。4:Ride Wit Uとか特に。「どんなシュツエーションだと流せるの??」って疑問大。余り誉めてる意見を見なかったアルバムだけどその通りだなぁ、、、と思いながら聴いてました。ところが、6:Jeepで本気信号が点滅。

R Kellyを連れてきたから、やっぱり対抗してJeepかい??とは思ったのだが、かなりイイ作品に仕上がってる。Joeらしさが出てて、「ブリッジでのチェンジ・オブ・ペースが自分の特徴」と言ってただけのことはある。くどい位にエロかったR Kellyの曲(You remaind me of something)と違って、程よい感覚がイイ。女声が上手く入ってるのもそう。あんまり女声を使わない人だから結構驚いた。3:43ぐらいで吼えてるのもナイス。続く7:You Dropped Your Dimeはもっと伸びる。

切なさ
2作目:All That I amのような若い切なさじゃない。大人の切なさが上手く出てる。この曲を聴いてると、「大事な事の足りなさ」が「埋め切れない切なさ」に結びついてる気がする。何もかもが足らないような若い頃と違う。その分だけ男女関係に燃えあがるような・・・そんな激しい切なさはない。心の隙間にすべりこむような切なさが絶妙のバックトラックと結びついてる。今までのJoeの曲と比べても遜色無いと思う。

アルバムの中で一番イイのは、8:Make You My Babyじゃないかな。R Kelly作としてもかなり高いレベルになってると思う。この曲を聴いてると、「切ない切なさ」の部分でJoeとR Kellyが完全に重なり合ってると思う。それぞれムーディとエロ担当だったけど、本心はこちらになるのか、、、って、じーんと来てしまった。相変わらず、女性が側にいる感触は無いんだけどね。けどBetter Daysよりは明らかに女性を求めてる。その求めてる距離感が凄くイイ。

9:Street Deamsは久々に前面にJoeが出てきたと思う。Better Daysにこんなタイプの曲は無かった。R Kellyの曲の次だから、余計にドライブがかかっているんだろう。3作目 My Name is Joeでのミドル群に近い感覚です。

10:It Ain't Like Thatもかなりびっくりした。こんな押し気のある恋愛曲は今だかつてJoeは作った事無いぞ。今までで一番「熱さ」を感じる。他の作品の曲は熱さまでも計算済みだった面があったが、この曲だけは、熱さが全てに勝ってる。11:Another used to beが実質、アルバムの最終曲じゃないかな。こんな両手を上に向かって広げるような恋愛曲をJoeが作るとは、、、、あの頃、思いもしなかったな。

中ジャケのショットも格好イイんだよネ。ジャケのレベルでは全作品の中で一番なんじゃないかな。ふっと見たら"Joe - and then..." この作品は"Better Days and then"じゃなくて、"Joe and then..."なんだなぁ、、、って思えた。


ずっと、Joeの自己意識が謎だった
R Kellyは両極端に分裂してた。マクナイトは「この辛さを糧に、自己そのものを見詰め抜いて、新しい自己像を作る」っていう意志に満ちていて。だから、若い頃は彼らの曲ばかり本気で聴き込んでた。その頃のJoeなんて"My Name Is Joe"ってタイトルつけては世界の失笑を買っていたもんなぁ。
けど、Joeはやっぱり

"Joe and then...."
ってタイトルをつけたいのだと思う。けど、流石に前の失敗があるから、"and then..."にしてる。けど、CDのプリントもちゃんとJoe and then...って並べてるんだよねぇ。こういう瞬間かな。解答がある問いかけをしてる気がするのは。

"and then"って単純に辞書を引けば「それだけでなく」ってな意味になるけど、やっぱりここは「それから」の方がイイと思う。こんな事ばっかり言ってるから英語は伸びないが、まあそんなもんでしょう。だから、やっぱり本作は

"Joe それから..."
だと思うんだよね。で、「それからどうするんやねん」の答えは、「本作が売れなかったら素直に裏方に戻る」だと感じた。それ位に売れない要素がある。当然、上司のKedar Massengurgは売れないことぐらい分かってると思う。それでもJoeの好きに作らせたんじゃないかな。そんな気がした今日この頃です。


"My name is Joe"
"Joe and then..."

二つを並べて眺めると、Joe自体を突き放してるなぁ、、、って思う。R Kellyやマクナイトほど自己に対して乱暴じゃない。けど、イイ意味で突き放してるよ。じゃないとこういう態度はとれないと思うから。My name is Joeの時はオイオイと思ったけど、Joe and the...はカッコイイと思うよ。

本作を連続リピートで聴きこんでいると、「ああ、いつの間にかJoe自身のことを好きになってるんだな」って痛感してた。
もちろん一番最初はGood Girlを聴いた時です。他で「きみの瞳は語らなかった、彼氏がいるとは。すてきな女性がぼくに時間をわけてくれないのはなぜ」というサビと「六月の花嫁」を思わせる曲調の組み合わせが最高。この曲が生みだす雰囲気に浸ることが出来れば、きっと恋愛の扉は開くと思いマス。人生、上手く行かないことはよくあります。けど、「上手く行かない理由を、爽やかに見詰めれる事」 これはかなり大事なことだと思いマスって、激誉めする位だから。

次はやっぱり「自分に愛が必要なのかどうかわからなくて、ちょっと混乱しているんだ。見過ごしてしまっているのかもしれないし…。50歳になっても独りぼっちかもしれないな…」かな。やっぱりこの「見過ごしてしまっているのかもしれないし」っていう態度はかなりナイスだし、「自分に愛が必要なのかどうかわからなくて」っていう部分も「考えすぎじゃないか?」っていう位に真面目な態度がナイス。

そんな人なんだよネ。根が正直で真面目で・・・ってこんなのはJoeのファンは皆知ってるよね。
そんなJoeは"Joe Thomas"と"Joe"を明確に区別してると思う。別に斜に構えている訳じゃないよ。なんか普通と違う距離感で"Joe"に接してると思うだけで。ちょっと謎で、なんか惹かれてます。自身の勝負作に"Joe and then..."と名づけるセンスを。尻尾の"..."も異色。あんまり多用したメール書くと女性に嫌われるんだけどネ。けどJoeは多用しちゃうだろうなぁ。だから好きなのかも。


うーーん、最後の方は意味不明になってますが、とにかく、7,8曲目の切なさは最高。25歳以上が女性をくどく時はこの曲が一番ぴったりだと思うよ。 え、あんたのお勧めのCarl Thomasは? あれは本気切ないから恋愛の初期に流すなんてダメダメ。「昔の女を引きずってる」って思われるのが関の山ってもんです。


「なぜ彼女いないの?」「今まで仕事にかかりっきりで余裕も無くて・・・けど、最近、切ないんだ」
これで上手く行く事間違い無しです。問題は「なぜ彼女いないの?」って最初に聞かれなかったらどうするか?ですが、そういう時はJoeさんに聴いてください。「素敵な女性が「なぜ彼女がいないの?」って僕に言ってくれないのはなぜ?」って。

これを友達に聞いたら、「あんた頭おかしくなった?単に気が無いからだろ」って言われるのも間違い無いですが、それをあそこまで名曲にしたJoeはやっぱり偉いです。普通じゃ絶対に出来ない。そんなJoeの最新作は大人の切なさがこもってる。



「恋愛恋愛いう前に、まずはちゃんと仕事できるようになること」って言い聞かせて数年。
最近、ふっと切なさを感じ始めた人には確実にお勧めできる作品です。


それ以外のことは断定できませんが、これだけは断定できるな。
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