Gerald Levert
"Gerald's World"
吹っ切れ度合いが最高
[2003/10/05]

5年もR&Bを聴いてれば、「この人はこの先伸びる/伸びないだろう」って感じるようになる。色んなアーティストの流転を見ていると、なんとなくそんな気がする。 1999年、Gerald Levertには「もう伸びないだろう」ってハッキリ思ったんだよね。だって、あの"G"は一番イイ曲がKelly Priceとのデュエットで、それもKellyの方に食われてるんだもん。それ以外はいつものGerald節。何処も勝負をかけてない。KeithやJhonny Gillに比べてあんまりにも、、、だった。だから去年の"G Spot"であれだけ伸びたのには、すごく感銘を受けました。

それ以降は"Forever You & Me"を聴くためだけに買ったこのアルバムを、聴き直してました。
結論が出た後だからこそ、やっぱりこういう見直しが大切だと思う。次も同じ過ちを繰り返したくないから。今までもこうやって何人も聴き直してきたけど、多すぎて憶えてない(爆 最近はそこそこ予想が当たるようになったけど、当たるだけじゃダメなのも確か。まだまだ道は長い。

アルバム前半部分は相変わらずのGerald節なんだよね。哲章さんが「 この人は基本的にいつも”同じ”アルバムを作っている、と見ていい」とおっしゃる通りだと思う。だけど、よくよく聴くと、12曲目から違うんだよネ。何よりも「吹っ切れてる」。何に吹っ切れてるのかは、彼本人にしか分からないと思けど、自分は親父さんとの関係かなぁ、、、、って思う。

何をやってもいつも比べられて、「まだまだ」って言われる。そんな鬱憤。

もちろん歌手の道を選ばなければ良かったんだけど、そこまで選択肢は多くないからなぁ。それに小さい頃から憧れて、手取り足取り教えても貰ったんだもんねぇ。どっかで誰かが「エディーに会った時に、Geraldもちょうどそこにいた。30過ぎても父親の前だとすっごい子供っぽい表情をしてたのが印象的だった」って書いていたけど、それを見て「イイ関係なんだなぁ」って思ってた。歌手の道さえ選ばなければ、光だけになったのにね。選んだからこそ影も生まれちゃう。

「まだまだ」だけじゃなくて、「あいつは親父のコネだよ」なんて陰口を言われた日には、本気落ち込むと思う。もちろん80年代からのLevertの素晴らしい活動があって、親父さん達までプロデュースしてと、端から見ると十分に文句無しだったと思う。けど、聴き込むにつれてその中庸さが平凡さに見えてきた。「これなら親父に反抗した方が良かったんじゃないの?当たり外れが大きくなるのだとしても、当たったら越せるのだから」って思ってた。

そんな面を12曲目から吹っ切っていると思う。いつものGerald節といえばそうなんだけど、やっぱり奥底が違うと思う。そんな中でも一番なのは、やっぱり14:Forever You & Meでしょう。結婚ソングにイチオシ間違い無い。この曲、めっちゃくちゃ笑顔だよ。実際の曲の歌詞は置いておいて、Geraldの心の奥では偉大な父との関係なんじゃないかなぁ、、、って思う。ぐたぐた悩んでもしょうがない。そこに生まれちまったんだもん。言いたい奴は言わせておけばいい。その場所でBestを尽くしてるか、尽くしてないかだけしかない。そんな明るさに満ちていて、もう一段階の深みがある。だから

結婚した後にぐたぐた言うな
って言葉が裏打ちにあるんだよね。そんな意味でも大切な曲だと思う。それをこの明るさで伝えてくれるんだよ、文句無しです。ガキが言うForeverとの重みの違い。象と紙人形ぐらいです。だからこれだけ惹かれているのだろう。この曲の後に、《G Spot》の"Closure"を繋げればもう最高。けど15:Dream With No Loveもテンションが持続していてかなりナイス。この歌詞、かなり気になる・・・・もし持ってる人がいらっしゃたら、ぜひぜひ教えてください。


この諭す力を考えると、既婚者の方にお勧めのアルバム。結婚なんてのは親子関係みたいに、「死んでも変えれない」ってお互いが腹をくくっただけで光が差すと思う。(今の自分の身分では説得力ゼロだが、、、 
[2008/02]

本作だけはアルバムコーナに紹介がないので、ここで気に入った曲を書いておきます。5:#1は聴き直すとかなり感銘する。Geraldの全曲からBestを作った時には収録します。15:Dream With No Loveもそうだね。12:Made To Love Yaも同じく。そんな意味では、G Spotと07年の遺作の次には買ってもいいかもしれない。



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