Dave Hollister
"Things In The Came Done Changed"
大人の男の《もがき》を感じる
[2002/10/26]

大まかに言うと、処女作と2作目の中間に位置する作品だと思う。音としても声の表情としても。処女作は個人的な方向性を追及しすぎて、「心意気は分かるがHITに結びつかない」作品だったと思う。彼のStreet志向は老成感が見え隠れしていた気もする。すっからかんバカな従兄弟のK-ciとは違うからなぁ。だから、スムースな曲を求めるリスナーの期待も裏切ったし、Streetの曲を求めるリスナーは相手にしてないし・・・と、酷く言えばこんな感じだった。けど、処女作が本人に一番近い作品だったのは確かなんだよね。
2作目はふっきれたかのようにリスナー側に立ってくれた作品だった。見事なコンセプトアルバムは「冬にお勧め」で自信をもって紹介できるほどだった。ファン層も大きく広がった作品だと思う。そんな意味では本作でどちらに向かうかすごく楽しみだった。

レーベルがMotownに移った経緯は知りません。まさか前のレーベルで放出された訳でもないと思うが、Motownが自信をもって送りだした作品になっているのは確か。特にリズムが効いた曲の出来がいい。この絶妙感は過去の2作には存在しなかったから。そんな意味では、期待は確実に裏切らないアルバムだと思う。曲の出来の差も少ないから通して聴けるしね。

25歳以上、35歳未満の男性に一番お勧めできるアルバムのような気がします。前作と違って女性陣にはあまりPushは出来ないかも。もし、過去の作品をしらなくても、このカテゴリーに当てはまるなら買ってみるのをお勧めできます。確かにこのジャケット写真から受ける感覚と同じ手触りのアルバムで、2作目よりはStreet的、処女作よりは円熟的。

What Shuld I Sayが一番いい
ボーカルの立ち具合が一作目と同じレベルだから。そんな意味で、彼は歩いていると思う。ただ、あちらに書いたような《果て》を手にした訳では無い。どうしてもそう思う。このジャケット写真も。結局、まだ一度もDaveは正面から向き合って無い気がしてしまう。2作目のジャケットの正面顔には迷いが出てた。それを今回の姿勢に持っていっただけの気もしてしまう。視線を隠すような帽子のかぶり方にショックを受けてしまったなぁ・・・。

明らかに、Dave HollisterはR&B通がベタ誉めする歌手であって、その枠組みをまだ飛び出てない。Blackstreetの元リードボーカルという説明が一番多くの人に伝わるし、やっぱり今回も「この人誰?」って聞かれて、そう説明したから。もちろん、一作一作の作品で気を抜いてないのは聴けば分かるし、どんどん良くなっているのは確か。

けど、良くなっていくのに反比例して聴く人が少なくなっていく気がして、哀しくなってくる・・・
このアルバムを聴いて、過去2作も聴き直して、これが結論だった。確かに、What Shuld I Sayだよ。きっとDaveもそう思っているのだろう。それ位に叫んでる。Make You Understand Meと。やっぱり、本当にDave Hollisterにはもう一歩伸びて欲しい。いつだってそう思ってるし、その視点で見ると、「もう一歩」なのが感想だった。幅広く聴いてもらうには、何かが足らない。

もちろん彼はこの先も作品を届けてくれるだろう。そんな安心感をリスナーにもレーベルにも渡すのに成功してるんじゃないかな。ただ、枠を壊すくらいに伸びるには、《突き詰める》か、《今まで相手にしなかったものを見詰める》かのどちらかが必要だと思う。若い頃から悟った感もあった彼だから、それが魅力でもあったんだけどね。次回作で、Daveはどちらに踏み込むのだろう?


お勧めはもちろんWhat Shuld I Sayです。It's OKもナイス、やるねぇーロバート・スミス。ミドルのWhat's a man to doも気に入った。1:36の部分がDaveが歌うべきミドルの曲を思わせるなぁ。


[2003/07]
最近、よくDave Hollisterの"What should I say"を聴いてます
噴出するからターニングポイントなのか、ターニングポイントだから噴出するのか、それは良く分からない。厄年のようなもので、ある年齢になったらどうしても吹き出るというのかな・・・あんまりそういうのは信じてないのだけどネ
ただ、このアルバムが彼のターニングポイントだと感じる。噴出する自己の矛盾を正面から見据えて、生まれるのがMake You Understand Meか、、、やっぱり彼もアホ男だと思ってしまった(オイオイ 従兄弟のK-ciはもうここまで叫べない気がするけど、どうかな。若い頃に叫びすぎると、妙に縁側のおじいちゃんみたいな雰囲気が似合ってしまう気がするや。K-ciのソロ作はそんな意味でも興味大。自分としては、そろそろRichardsonとDaveに世の比重が移り始めてる気がする。若い頃に抑え抑えで耐えたと思うから、そろそろトンネルの出口だろう。

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