『アレックス・ヘイリー・プレイボーイ・インタビューズ』を読んで  読書感想文を書くと決めたとき、すぐに頭の中に浮かんだのは、黒人文化についてだった。 自分自身が黒人音楽が好きだったし、興味があったからだ。まず本を選ぶに当たって、一番 最初に気づいたのが、そのどれもが、人種差別問題について書かれたものだということだった。  本書は、アレックス・ヘイリーが一九六〇年から一九九〇年代に、主に黒人を相手に行った インタビューを集めたものだ。  インタビューはジャズミュージシャンのマイルス・ディヴィスから始まる。彼は最初から 最後まで、自分の思いをはっきりと述べていた。だけどそれは白人への一方的なものではなかった。  モハメド・アリは逆にそういう話題に一切ふれず、いかにして世界ヘビー級チャンピオンの座を 得たのかを力説した。その手口のどれもが計算づくの巧妙な手口だった。彼がボクシングだけでなく、 あらゆる面で天才だとよくわかった。  そして、公民権運動の中心人物であったマーチン・ルーサー・キングに続く。彼はヘイリーの懐に 飛び込んでくるような質問に指導者として冷静に答えていく。質問を重ねるにつれ、二人のインタビ ューは、ヘイリーが答えてもらう立場ではなく対等な立場、対談へと変わっていった。  彼は一人のインタビュアーとしてではなく、黒人として質問していく。この姿勢が彼の対話相手が 心を許して答えさせているのだと感じた。  インタビューはこのほかにも、白人至上主義者のナチ党総統、アメリカ最高のエンタティナー、 アナウンサー、映画俳優、アーティスト等、当時のアメリカを象徴するような有名人に行われた。 彼らのほとんどが、人種差別問題について答える。その内容は人によってバラバラであったが、 どれからも人種差別問題がとても重要なものだと思いしらされた。  そして、これらのインタビューによって、世間に考えさせることこそがヘイリーなりの公民権運動 だと思った。