Calvin Richardson
《をとこ》というならば、彼がNO1
[2001/04/08]

確かにR&Bでは男と女にまつわる歌が多い。自分も聴き始めの頃は 「なんでこいつらこんなにHな事を歌っているんだ?!」と疑問に思ったもんだけど、、、 最近あまり思わないのは、慣れ?かな。 けれど他のジャンルに比べてセクシーなアーティストが多い訳では無いと思う。セクシーさを、より「売り」にはしてるけど。ダンスナブルにグラインドして も、YoYoYoってプレーヤー的に声かけても、マッチョに筋肉鍛えた上半身を 見せびらかしても、、、オイオイそれはセクシーさじゃないでしょ、、って思う。

情熱がベースである事、それをスタイリッシュに抑える事
それが本質だと、このアルバムを聴いて、初めて開眼させられた気分。
結局の所で、全部出したら情熱じゃないんだよね。常に何処かに溢れ出る予感を感じさせないと。

K-ciとJoJoのファミリーバンドに昔在籍してたとかで、K-ciとのデュエット曲を しょっぱなに持ってきてるけど、間違い無くK-ciはRichardsonの事をうらやましがってる。「オイオイ、あんたはキャリアも認知度も何から何まで上じゃん」 彼につられて《自身の今までの予定ライン》を軽くオーバーしながら歌うK-ciに突っ込み入れたくなってくるや。

MaryJ.はきっとK-ciのこの部分にあれだけ惚れたんだろうな
何となくこう思った。けど、それは無理だと思う。K-ciはその部分を奥に隠しこんでいるし、今までだって、街で可愛い女の子に声をかけるように、あくまでそのラインを踏み外さない地点で歌ってきたのだから。 それともMaryJ.は自分だけは掴んでいる自信があったのかな?  けど、「それでも駄目でしょう」といいたい。だってK-ciは良く言って「やんちゃ」だもん。 というよりも、数の多さで自身を保っている気もする。それに比べてRichardsonは惚れた女は必ず振り向かせるというスタンスだと思う。

君は《をんな》だろ、俺は《をとこ》だ
こんな感じかな?
彼の曲を聞く度についつい彼のアドリブを真似してしまうけど、K-ciも真似しているしね。 Kelly Priceの"All I Want Is You"の中でも躊躇いがちに真似しているのが、 ちょびっと可愛らしい。

それにしても売れたのかなぁ、、、このアルバム。 この奥底から火照ってくる感じは絶対イチオシなんだが。なかなか他じゃ味わえないよ。
  • 「あーー周りのオトコはつまんない奴ばっか!」 って叫びたい女性にお勧め
  • 「うーー俺はホントのカッコ良さが欲しいんだー」 って叫びたい男性にお勧め
確か[NOW3]に彼の曲が入っていたと思う。それが気に入った人は絶対買いましょう。それより良い曲わんさかありますから。

「Pain,it just funny thing」から曲が始まる。文句ナシ!!
確かにその通りだと思う。「苦しみ、それは端からみれば、おかしみのある馬鹿な事」なんだと。だからこそ本人は苦しいんだと。 このワンフレーズで決まりだね。彼の深さと明るさを示していると思うから。

ともあれなんであれ 何がすごいって、シャウトにドライブかけるモノなんだよね。 他のアーティストと全く違う。この曲、この歌詞"Looks Like"でシャウれる人は他に無いでしょう。これが「いいをとこ」たる所以だと思う。

とにもかくにも、彼は2ndが作れるか微妙な所な気がするから、皆さん是非このアルバムを買ってください。お願いします。
あー、この曲が主題化のテレビドラマとか無いのかな? しかも主人公のきめ台詞がこのアドリブで。
そしたら、目を白陶磁器ようにまっ皿にして見るんだがw

[2002/07]

このアルバムを買った2年前の最初の感想がハードディスクの中から見つかりました。その頃、ちょうど哲章氏のHPを Kelly Priceを検索して見つけて、最近雑誌で見かけなかったら、めちゃくちゃびっくりして、何時間かかけて一気に読んで、、、 それで1番最初に買ったのがCalvin Richardsonです。ジャケットと哲章氏のレビューで決めました。

結構ドキドキものだったけど、買ってみたら何かを明確に感じたから。その後、Sparkleを買う事にして、ここでも目からうろこの気持ちになった。K-ciやR Kellyといったアーティストに対して、ずっと漠然と思っていた感覚がやっと輪郭がはっきりと分るようになって、、、試聴コーナー以上のアルバムを買うようにもなって、、、あれ以来、自分の中のR&Bが進んだと思いマス。 そんな意味でも哲章氏にはすごく感謝しています。

最初にアルバムを聞き終わった後、ふっと思った。

何かを連想させるような歌を歌う人だな・・・・

伝えたいものが感情でなく、心象風景のような気がする。
それがK-ciの心の奥底をえぐったんじゃないかな。だからK-ciはあれだけつられて歌っていると思う。押しとアクが強い人が多いR&Bの中で、この一歩退いたスタイルは異色的だよ。品のいいバーで流されるようなスタイリッシュさを備えていながらも、ムード音楽で終わらない感情の波はヘッドホンで注意深く追っかけると良く分かる。これがカントリーボーイだんなんて反則だよ。どこにも耕運機もニワトリも藁の山も浮かんで来ないよ。(12曲目は例外です)

それよりも、色々渦巻く都会で、自分の奥底を見据えて、揺ぎ無く歩んでいくそんなスタイル。それがアルバムジャケットの写真でも良く分かる。ダサいファッションにギターケース。急いで歩く人ごみの中でそこだけ時間が止まったような深く明るい青は・・・・2ndが待ち遠しいよ。

今の社会に対するアンチテーゼを提示したい訳では無いと思う。
かといって、ふっと足を止めてみようよ とも言ってないと思う。
このカントリーボーイという彼が定義するスタイルは一体何を伝えているのだろう?

この人はやる気になれば、もっと相手の奥底をえぐれると思う。それをせずに撫でている気がするけども、、、よくよく聞くと、撫でている訳でも無い??じゃあ、この距離に苛立ちを覚えるかというと、どこか優しい。けどそれは、安らぎではない。去っていく訳でもなければ、こちらに来る訳でも無い。けど、所々で溢れる感情はあくまで魅力的なのに、これだけ性を感じさせない魅力さって珍しい。

青少年の性を少しなぶる位がPOPSにおけるCDの売上を決める昨今であっても、だからこそ売れてないのだろうな。若い人にはスパイスが無さ過ぎると思うから。それが意味があるかどうかでなく、軽い痛みがあるくらいのスパイスに熱中するのが若者だとすれば、この渋さは、、、

物悲しさなんだろうか? 少し違う気がする。売れる仕掛けを作る事なんてこの人にとってはすごく簡単だろうに。確かに本人だって大して売れない事ぐらい分っているし、これで裏方に行くのも仕方ないと思っているだろうな。けど、最初からそれを狙っている訳じゃない。それよりも一作の完成度に賭けたのだと思う。

ふーーー、アルバム全部聞きながら思いつくままに書いたけど、これ以上は何も出てこないや。12曲目と13曲目はちょいとしっくり来ないけど、それ以外は、確実にやばいくらいに揺さぶる。
こんなにさりげないのに揺さぶられる方が始末が悪いんだよね、世の中。

という事で、買ってから1年経った今も、これだけ良く聴くアルバムも珍しいと思う位に聴いていると思う。 あれから1年以上経ったけど、まだまだ1番最初の疑問に答えてないと思う。 だからこそ、どうしても2ndが聴きたくて。それはこのHPを作った理由の一つに挙げれるから。

昔マクナイトから受けた感覚を二度と味わう事は無いと思っていたのに、、、このアルバムはそれを感じたから。

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