《やるせなさ》
[2005/08/19]

ここんとこ「やるせなさ」に酷く拘っています。
それについて真正面から書く状態になりました。前置きが長くなるけど、これだけ本気になった理由だからさ。

今、会社の部門間の連携を良くするための、部門にまたがった教育プロジェクトの末席にいる。会社で初めての試みというのもあって、出張続きで色んな部署の人にヒアリングしてた。この歳でこうやって会社の全体像を伺える仕事が出来るのに素直に感謝してます。上は常務、事業部長から班長、グループリーダまで普段なら絶対に話せない人達と話せるのは物凄く自分自身のためにもなる。やはり上にいる人は凄い。何が凄いって、空間支配力かな。イヤ、この言葉はちょっと語弊がある。こちらに書いたぐらいかな。最初の1ミリから広げていけば、最終的にはその場の雰囲気にどれだけ影響力をもっているかになるから。そんな意味で、ヒアリングしてるとこちらが完全に押し切られるんだよね。

もし話題が音楽それもR&Bになったとしても、ここから半分も押し返せないんじゃないか、、、って痛感することは滅多に無い。「もっと入れ込んでいて、圧倒的な成果を叩き出してる」時に初めてそうなる訳だから。あの歳なら、会社で働いて20年以上だろうし、成果を出してきたから今の地位にいる訳で、R&Bと決めて13年目で成果がこんなものじゃ押し切られて当然なんだけど(爆

ヒアリングした中でも若くして事業部長になった人がいた。話し始めた瞬間に頭の良さ/仕事での凄さが分ることってある。どれだけ他の人が「あの人にも聞いた方がいいよ」って言ってても、そういう周囲の推薦を忘れるほどに本人の凄さを見せ付けられる瞬間。言っちゃ悪いけど、常務とかよりも凄かったw 何がって、「こういう活動を本当に根付かせようと思ったら、殉教者がいる」っていうコメント。宗教方面にも造詣があるんだなぁって思ってた。ただ、ちょっとキリスト教チックだから、仏教理論に興味がある立場としては「宗教における殉教の関係」について突っ込んだ議論をしたかったんだけどね。

それ以外にも色々と意見を聞いたんだけど、ポロっと「会社組織の問題をこうやって講座を作る事で現場に意識改革という形で押し付けるのはやるせないよな」って言われたんだよね。その時の顔の角度、姿勢、視線の色まで今でも思い出す事ができる。こういう瞬間は音楽を聴いてても訪れる。その嗅覚だけなんだよね。それだけがレビューを上の次元に引っ張りあげてくれる。数年ぶりだと思う。名曲と同じ位の体感を会話の中で感じたのは。だから僕はこれだけ心に残っているんだ。

あの人は、会社人生の中で何度かやるせなさに直面してきたのだろう。それを無くすために真正面から取り組んできた結果として、今の結果と地位があるのだろう。それでもやるせなさをゼロに出来てないのだろう。その《やるせなさ》が心の深層部分にある。そんな表情をしてた。それがダイレクトに心に飛び込んできた。

確かに「失敗プロジェクトの火消し役」として過ごしてきた中で、

何でこんなに顧客要望と乖離があるんだ?これじゃあ失敗するのも当然だろう!!
何でこんな体制で進めているんだ? これじゃあ失敗するのも当然だろう!!
何でこんなに責任所在が不明確なんだ? これじゃあ失敗するのも当然だろう!!

って何度も心で叫んだんだろうね。(この他にも色んな状況とかがあると思うけど、僕には全部が思いつかない。。)そういう状況を潜り抜けてきた人だけが持てる特別な空間は確かにある。
ハッキリ書こう。あの人は、社長になるかもしれない。それ位の器であって、それを周囲にも認めさせている。年齢と今の地位から最低でも常務にはなるんじゃないかな。会社の中で「未来の社長」と言われている人には初めて会った。自分自身もその評価に納得した。そんな人の話を聞いた結果としての体感。

だから「やるせなさ」を追っかける事で、きっとNext Levelに行けるだろう。音楽生活としても会社生活としても。これだけダイレクトに二つが重なったのは初めてだ。


振り返ってみると、随分と「やるせなさ」についてコメントしてる。けど、やるせなさの核は何か全く分らないんだよね。体感的にはどうしようもなく分っているのに、全く言葉に出来ない。それはすなわち、その向こうにある光が見えてなく、先に進めないことだから。そこから1歩でも踏み出すこと。それが一番したいことであって、音楽のレビューはその結果の一部でしかない。本当の場所は此処だ。今までもそうやって歩いてきたし、これからもそうやって歩いていきたいと思ってる。


この前、Weekly Commentoに書いた。
辞書を見ると「心のやりどころが無い」って書いてあるけど、これはイマイチ。もっといい意味があるハズ。それが悲しみと哀しみの違いほど分ってないのだけ ど。。悪い方向に進んでいるのが分るのに、止める事も出来ないのは無力感。嫌々しょうがなくやるのは嫌悪感。選択肢が無くて行き場が無いのは閉塞感。ここ ら辺が重なる地点にやるせなさ独自の何かがある。「やるせなさ」を感じる曲って、、、うーんすぐには思い浮かばないや。なんか、ここんとこやるせなさについて拘ってます。意識についてもか。
英語で調べると、heartrending(heart:心 rending:ずたずたに引き裂かれる)か、disconsolate(dis:反 consolate:なぐさめる)になる。けど、これもなんか納得できない。そもそもこれで納得できるなら、ここまで拘ってないよ。


そんななんなの心情の時、改めてエリックを聞いた。
って言っても、R&B好きな人でも滅多に知らないだろうね。Blackstreetのメンバーの一人であって、リードでもないから。僕もジャケを見ても誰がエリックなのか分らない。なのにこれだけ拘っているのは、傑作の誉れ高い2nd:Another Levelの中で一番好きなのが、I cant't get youだから。皆に薦めて、皆が気に入ったアルバムだけど、この曲をTOPに掲げる人には会わなかった。このHPを見てる人の中でも一人いればいい方だろう。駄作と言われる3rd:Finallyもそう。Drama, I'm Sorry, Finallyを誉める人はどれだけいるのかな。最後に出たGreatest Remixes +1の11:Think About You(Quiet Storm)も特に感じる。

本当のことを言うと、レビューはどれだけ体を張れるかだと思ってる。誰も認めてない時期にどれだけ誉めれるか。それだけだよ。そういう意味で言うと、R.の頃とか、哲章さんに続いたマクナイトの1st、今でも独りで吼えてるI'm Not Ready。(いやAmazonの人が続いてくれてる) それだけだから。曲の好みは何でもいい。ここでPushしてる曲が全部嫌いでも全然いい。けど、体を張ってない奴はパスです。見てる方に唾がかかる位に喋る必要はない。書くスタイルも人それぞれだから。けど、どれだけデタッチメントなスタイルでサラっと書いても、そのトーンを壊さない中で体を張ることが出来るよ。それを探さないと大成しないから。若い人にはそこを一番伝えたいんだよね。

そういう心で書いてても、エリックだけは別。今までずっと別だった。
それは心の重なり方の何かが違うから。他の歌手は、「この曲が生まれる空間を体験してきた人は絶対に逃げれない」と言い切れる曲だから。けど、エリックの曲にはそういう情景が浮かんでこない。自分の抱える何にも重ならない。そして、なんでこんなにメンバーの一人に拘っているのか、ずっとずっと分らなかった。なのにこれだけ惹かれてて、その事実にずっと混乱してた。

だからJaheimがエリックのことを尊敬してると書いていて本当に嬉しかった。大げさに言えば「生きてて良かった」と思えるくらいに嬉しかった。誰一人にも伝わらない中でも体を張るって言うのはそういうレベルの話だから。村上春樹の「午後の最後の芝生 」を齋藤孝が誉めた時もかなり嬉しかったな。



ここ数日聴いてやっと分った。僕はエリックの曲に一番やるせなさを感じるんだ。彼の曲を追っかける事で、やるせなさの核まで辿りつけると思う。その体感がある。

彼の曲を聴いて分ったこと。
「やるせなさ」の説明を見てみると、英語だろうと日本語だろうと「○○の否定」の形で説明してると思う。「やるせ・ない」というように。この区切りの時点でどうしても納得できない。僕はやっぱり「やる・せない」と区切りたいんだよね。それが曲の中から浮かび上がってきたから。すなわち、やる=行動("あげる"じゃない)、せない=切ない なんだよね。やるせないは無力感、閉塞感、嫌悪感とかじゃなくて、「切なさ」に近い気がする。
そうだとしたら、

「切なさ」って何?

誰もが当然のように分っていて、多用する言葉だけど、改めて真正面から考えると、全く分かってないことに気づいた。「せつない」って「せつ・ない」って分けれるの? そんなことさえ分らない。まるで、森を抜けたら、もっと深い森に迷い込んだような気がする。。

僕は今、切なさを感じているのだろうか? 歳を重ねて昔より「切なさ」を感じなくなった気がする。
僕は今、やるせなさを感じているのだろうか? 歳を重ねて昔より「やるせなさ」を感じる気がする。


答えにどれだけ近づいたんだろうね。
それはここまで読んでくれた人が判断する話なんだろう。
とりあえず、今はこれで精一杯です。



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