痛みの共有が出来ないという弱さ |
[2001/08/05] 本当の事をいうと、、逆サイドに良い人材が育ってる。何処に出しても恥ずかしくないTyreseが。「彼女らは僕に色々望むんだ、バックとか何とか。けどそれじゃあ何処にもいかないっていう、、」というような事をインタビューで答えてた。「馬鹿だなー、そんなの当たり前なんだから、こっちも適当に食ってりゃいいのに」と思った貴方、そんな貴方はもちろん逆サイドには入れませんw けど彼はマクナイトの事をリスペクトしてない。なぜかBabyfaceなんだよね。けど、実は当然なのかも、って思う。それはマクナイトとは痛みの共有が出来ないからだと。もちろん、マクナイトの1stがワッツで育つ彼の耳にまでは届いたとは余り思えないのもあるが。けど、もし届いたとしても、彼はマクナイトをリスペクトしていたか?という疑問に、、、素直にYESと答えられないと思う。何故なら、1stであっても、痛みはフェーズを変えているから。 結局、TyreseはナイーブさをBabyfaceに投影し、2作目でBabyfaceから曲を貰っているけれど、それがホントにどうしようもない出来なんだよね。リスペクトに対して、あのレベルの曲を返す根性は見上げたもんだよ。せっかく、髪型もファンキーになって、盟友LAと心機一転かと思ったのに、期待外れかも、、思ってしまったが。 楽しさや喜びって色々な物と繋がる。こっちも、それに対して「おめでとう」や「よかったね」って言える。けど、悲しさや痛みはそうじゃない。何処にも行かない。こっちも、「可哀想に」とも言えない。出来る事といえば、聞く位・・・。 喜びは世界が広がる気持ちにしてくれる。けど悲しみは、それのみが目の前にあり、まるでそのサイズだけがどんどん大きくなるような感覚で。 だからこそ、逆説的に、悲しみ,痛みを共有出来るとしたら、人は心の奥底で揺さぶられると思う。同じ痛みと、そこでの僅かな光を示してくれるのなら、本当の意味で救われるだろう。 R Kellyは"Woman's Fed Up"以来、ずっとそっちの方向を歩いてる。自身の扉を開き、痛みに傷ついた姿を見せながら。確かに最新作TP2-COMはぶっとんだ作りだった。現実に付いていくのはしんどいと思う。けど、そんなR Kellyの姿を、みんな見守っていると思う。 ところが、マクナイトは正反対を歩いていると思う。マクナイトはデビュー以来、どんどん自身の本当の姿から離れている。彼の引いた様々なラインは、優雅で誠実感のあるマクナイト像を浮かび上げている。そして、皆それを共有する。けど、、、マクナイト自身も、その像に目がくらんでいると思ってしまう。 だって、"Lonely"のサビが[Are You Lonely for Me]だよ 確かに、世界中でマクナイトだけは、この台詞がアリだと思う。相手の女性はマクナイトがいない事を寂しがってると、皆思うだろう。これをマクナイト以外が言った日には「はああーーん、ふざけるのもいいかげんにして!二度とかけてこないで」で、二度目の電話は警察沙汰間違い無いだろうw けどマクナイト、"皆がアリだと思う事"と、"実際にそれを言う事"の間には、決して超えていけないラインがあるんじゃないの?そんなラインを引く事が君の核じゃないの? だから、4thで1番のバラード"6,8,12"でも、彼はワルツを踊ってると思っちゃう。 <shout> 戻って来ない女性を、ワルツを踊りながら待てるなら、俺だってそうしてーよ</shout> って気分になるもんね。実際、「ちょっとまって、マクナイト、君の家の扉を開けてみな? 絶対、その女性は立ってるから」とは、この曲の暗黙の了解のような気がしてくるやw こんな4thから受ける感覚は、、、言えない重石のように心を塞ぐ。だから、良い曲が揃っていると思う4thだけど、取り出して聴く事は滅多にない。1stは月に1度は聴いても。結局、マクナイトは共有すべき痛みを見失っているように思う。 現時点で、優雅な誠実感を与えれる男性R&Bシンガーは、マクナイトがダントツ1位。そんなマクナイトの枠組みはもう揺らいでない。それが、、やっぱり不満。 1stだけは、マクナイトが、その枠組みを作る過程を見せていると思う。 まるで、「貴方の事とは終りにしたいの、良い人と出会ったの」という言葉に対して「おめでとう」という返事をする為の儀式のような、、、 次ぎの彼女との会話で、前の彼女の事を聞かれた時に、「彼女の事は好きだったよ」という一言で、今の彼女へ安心感と誠実さを渡す為の儀式のような そんな意味では、彼は恋愛の痛みを、ラインを引く気概にしていたと思う。1stを聴く度にそう思う。それは悪い事じゃない。けどそんな姿と親和性が無い人は一定数、当然としていると思う。 その果てに今のマクナイトがいる。彼は奥さんの浮気や子供の反抗から限りなく遠い地点にいる。それはマクナイトがぶってなく、本当に良い男なのだからだと思う。けど、少しくらい反抗したくなる面があるほうが、子供としては楽なんじゃないかと思ってしまう。 何より、人は、マクナイトほど強くない、、、だからこそ、痛みの共有を求めてしまうんだと。 誠実でいい男だからこそ、その結果として、痛みを抱えてないという逆説に、、、彼は陥ってしまっているのでは無いだろうか。だからこそ、どうしても歌わざるを得ない物を無くしていると。マクナイトの、そのラインは余りにもエレガント過ぎて、本当に側に行くには重すぎるのだとしたら? もしマクナイトが惚れた女性が、それゆえにハチャメチャだけど痛みを抱えている男の方を選んだらどうするの? って思う。実際は有りえないだろうけど、もしこんなシュチュエーションが存在したなら、女性はマクナイトじゃなく、そっちの男を選ぶだろう。彼女は共有できない痛みを抱えていて、それでも前を見つめようともがいているとして、、、マクナイトは確かに好スタート地点からエレガントに歩いてる。その男は、まるで自身は被害者のように勘違いして女性にめちゃをしてるとしても、、、 実際、彼女はその男を選ぶと思う。そんな風に、、、この世は出来ているのだと。 うーん、小学校の学芸会みたいになってきたが、やっぱり自分はそう思うんだよな。その時、ラインを引いてきたマクナイトは、どう思うのかが、凄く知りたかった。ハンサム過ぎて、ナイスガイ過ぎるマクナイトは、だからこそ、上手く行かない時に何を思うのかを。もし、そこを突き詰めたら、あのレベルを超せるかも、と思った。 それは、もうかなわぬ夢か。マクナイトの新作に関するインタビュー記事を見たから。Superheroの由来もあったし。彼は現時点でも第一線で活躍している事に、感慨深げのようだった。確かに、その気持ちは良く分かる。インタビューでは、その理由を聞かれて、「それが分ったら苦労しないよ、、」ってな答えをしてたw それはやっぱり、マクナイトの引いたラインの優雅さと誠実さだと思うよ、、きっと新作も、文句をつけれないほどの出来の曲にマクナイトらしさが詰まってるんだろうなぁ、、と思う。そりゃ、絶対に発売日に買うけどさ。もう1度、マクナイトのラインを引く姿を見たいというのは、間違ってるのだとしても、、 いい男過ぎる所以の逆説に陥ってるマクナイトは、これから何処に向かって歩いていくのだろうか? |