Shanice
25歳を過ぎた女性にお奨め 本作はジャケ以外の全てがナイス
[2003/06]

Shaniceと言ってもどれだけの人が知ってるのかな? 90年代初期の一時期、一番輝いていた黒人女性シンガー。名曲"I Love Your Smile"の笑顔は、自分が初めてすげーと思った表情だった。そんな意味でも密かに位置付けは高かった。そんな彼女の最新作が99年発売の本作です。もう2003年だけど、彼女はこの先、新作を作れないと思う。だからこれが退場作になるのだろう。けど、このアルバムはホントにいい。25歳を過ぎた女性にお勧めなのは間違い無い。肌触りがいいんだよね。聴きつづけるほどに味が出てくる。

ただ、、、悪いけど上のジャケットは完全パス。なんで皆うそ臭い笑顔ばっかりするんだよ・・・ あの頃のShaniceの笑顔に惹かれていた身として、ずっと買う気になれなかった。ヒットした2:When I Close Me Eyesもこのジャケ通りの表情で歌っていて、言っちゃ悪いが蛙ぽかった。ひら○なBrandyとため張れると思ってました (すみません・・・


新作では手が伸びなかったけど、やっぱりShaniceだから。ずっと中古リストでした。で、やっとこの前に見つけて買ったらホント良かった。Ultimateコレクションも出ているけど、こちらのジャケット(←)はホントにイイんだよねぇ。ほのかに笑顔だしさ。

"Shanice"はジャケットだけが失敗だと思う。曲としては、こちらのUltimate Collectionのジャケのような曲が揃ってるから。このジャケットだったら絶対に発売時に買ってた。哲章さんも言う通り、連れてきた新人プロデューサーはクセのあるナイスなメロディーを作ってる。もしこちらのジャケットだったら、絶対に本作で退場にはならなかっただろう。そんな意味では、凄く悲しい。

1,2曲目の若作りしてないミドルがナイスなんだよね。アルバムが引き締まってる。本人らしさが詰まっていながらも、売れる要素も多い。Brandyの"Full Moon"に近い感覚で、25歳以上の女性には本作の方がお勧めです。

個人的に気に入ってるのが3:Yesterdayです。本作の中で一番突き詰めてる。タイトル通りの向き合ってる姿なのが素晴らしい。この歳になりながらも、逃げてない。そんな回り道の歩みが、実は一番答えに近いと思うから。

5:Fly Awayは素直な光に満ちている。Yesterdayで振れたおかげかな。歌詞では色々と言っているが、あまり相手を感じない曲。イイ意味での一人姿であって、「いつでも貴方の元にFly Away」と歌っていながらも、一人の生活を楽しんでる感覚があって、単純に好きを訴える曲じゃない。そこが一番たまらない。

7:Ain't Got No Remedyはお茶目さが出てる曲。「もうこんな歳じゃないかもしれないけど」、って前置きした後に見れる、そんな子供っぽい笑顔のような曲で、男ならここは蛙のように飛びつくのをお勧めですw 9:Fall For Youもかなりナイス。到達度ではCaseの"Open Letter"と同じレベル。けど、男性陣に比べて哀愁感がなくて、あくまで前向きで明るい。女性の良さが出てると思うな。

男性は未来と過去さえあれば生きれるが、女性はあくまで今を大事にする
とは良く言うけれど、その証左の気もする。栄光の時期の輝きで比べれば、彼らよりも深い所を潜り抜けてきた、そんなShaniceの今に満ちてる傑作アルバム。二十歳以下の女性にはお勧めできませんが、先が見えてきて心の準備をしたがってるなら、20歳前半でもハマルかも。

11:Somebody Elseもかなりいい。ホント、おいおい、こんなにアルバム良いのに本作で退場?
あーあぁ、、、ホントに惜しいや。

R&BのReasonコレクターなP2S2H2としては12:A Reasonも外せません。このアルバムを貫通するだけの曲です。昔の酷い男を歌う曲ながらも、この心情が出てるのが凄い。女性の到達地点の一つ。MaryJ.やSyleenaのようにDeep過ぎる世界が怖い人も、このアルバムなら浸れると思うよ。  けどさ、[Reason]じゃなくて、[A Reason]なんだよね。その"A"に女を感じる男なら普通は[Reason]、勢い余ったら[The Reason]ってつけちゃうだろうけど、女性は[A Reason]なんだよね。この視線は女性しか出せないと思う。だからこの曲にはこれだけハマっているのだろう。メロディーとしてはなんの変哲も無い単なる曲なのに・・・。

今のShaniceの事は知らないけど、生まれた赤ちゃんをあやしている地点までFlyして、そこから見詰めているからかな。だからこんな色の視線になると思う。男には出来ないよ、これは。最後は13:Dreamin'だからなぁ。ため息出ちゃうほどの統一感。ここまでのアルバムは久々の気分です。


で、伸ばしに伸ばしていましたが、なんで「25歳を過ぎた女性にお奨め」かっていうと、以前に飲み会で女性陣が言ってたんだよね。
「私、母親から、「女はクリスマス・ケーキだから」って言われる」
「え、なになに、なんで (by すげー聞きたそうな顔w」
「25過ぎたら買ってもらえない」
「あちゃーー」
皆で深く頷いてしまった・・・ その後「いいよねぇー男は」としっかり頂戴してきましたがw、そうやってけしかけて危機感持たせる母親もナイスかもなぁ、と思ってしまった。周りが結婚し始めたら、あーあぁ、最初の波に乗り遅れた・・・って、落ちこんで、次の相手と焦る気持ちも出るけれど、「ここだ」と思ったら、逆にゆっくり行くのがお勧めです。

走る事が大切なのでなく、走れる事が大切だと思うから。それだけKeepしてれば、普段はゆっくりなペースの方がいいと思う。今を掴まえてもしょうがないからネ。掴まえるのは確実な歩みであって。そんな意味で、このアルバムはそんな女性陣に本気お勧めです。このアルバムの良さが分かって浸ることができれば、未来は明るくなる。断言できるね。


たまたま日本語盤を買いましたが、ここでの松尾潔氏のノーツはお勧めです。お金に余裕があったらいいかもよ。あまり日本語盤を買わないから、全部見たわけじゃないけれど、Janetの"Janet"はホント良かった。このレビューはその次ぐらいじゃないかな。昔は、MaryJ.の3作目で、「俺もイニシャルがKCだ」とか言ってたのにね♪ 

パフィーがフェイスエバンスを「雨のような声」と言ったらしいが(Faithにそこまで入れ込んでないのでコメントできない 松尾氏はShaniceを「霧のような声」と述べてます。それはあんまり分からない。もし霧だとしても、本作は虹がかかってる。それ位にナイスです。



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