Raul Midon
"State Of Mind"
瞳の奥の《明るさ》と《切迫感》
[2005/12/25]

BBSでしょーさんに教えてもらって試聴して買うことにしたRaul Midon。やっぱり一曲目の時点で買い決定でしょう。信じられないレベルの弾き方をしてます。帰宅後ゆっくり全曲聴いて完成度の高さに感激した。

BBSの方で教えていただいた盲目シンガーRaul Midonですが、かなりお勧め。Stevie Wonderがハーモニカで参加とか、完成度の高さといいTommy Simsに近いかも。Tommy Simsは「仕事で落ち込んだ人」に薦めるくらいだが、Raul Midonの方は若さの押し気がある。何歳かも知らないし、裏ジャケ的にはスペインちっくな顔してるけど、これだけ鼻が大きければR&Bに分類していい気がする(そんな適当でいいんかいw  これだけ飛ばし曲がなく全曲聴ける作品も珍しい。特に気に入ったのは7:Expressions of Loveです。Stevieが参加してるというだけじゃなく、この感情の出し方が凄く好き。全体的に盲目さを感じないけど、この感情は何かがある。久々に LatelyにUPしたいアルバム。最近はLatelyにUPできなくて、溜まっているばっかりだけど、Anthony DavidとRaul Midonは今年の目標にしなければ。

4:Mystery Girlや5:Waited All My Lifeとかは凄く明るいしね。一番やるせないのは間違いなく10:Never Get Enoughです。タイトルから底。こういう曲になんでこんな注目するのか、それはよく分らないが、サビのNeverの吼えっぷりが好き。喉的には普通だが、ヘッドフォンで聴くと凄く迫ってくる。最後のAll in Your Mindも彼らしさを感じる。トータルとしてどんなタイプの人にも訴えかける作品になってると思う。Javier度数で言えば、Anthony David とRaul Midonは同じ位に高い。3人まとめてR&Bの入口としてもお勧めにINでもいいかも。Javierが切り開いた新しい潮流が少しずつ大きな流れになってる気がする。もう00年代も折り返し地点だからね。この流れがもっと強くなるのなら、この10年も自分にとってエキサイティングな分野になる。ちなみにちょっと度数が下がっておちゃめVan Huntもアリかもw

けど、こんなにもレーベル、ショップがPushするとは思わなかったです。ボーナストラック、ミュージックビデオ2曲追加で売ってるから気合が入ってる。フライヤー?(うーん、俺の記憶が正しければJaheimから始まったこの紹介小冊子の正式名称はなんと言うのだろう??)も置いてあったしね。それだけの価値のあるアーティストだと思うから豪華得点つきのCD発売は当然だと思う。けど、初期の段階で買ったリスナーに対する心遣いを、もうちょっと業界全体で考えて欲しいと思ってる今日この頃ですが。。

Javierと並べたのはトータルとして方向性に偏りが無いから
それを一応、《明るさ》と《切迫感》として分解してみました。これだけUPが遅れたのは、明るさの方はもうちょといい言葉がある気がしてたから。何よりも、20代も終わりに近づいて、この切迫感を共有しなくちゃいけない歳じゃなくなってる。だから本気で聴きこめてない面があるのだと思ってて。

そんな意味では、新人のデビュー作を紹介しようとする態度自体を変えていかなくちゃなぁ、、、と今年は女性歌手を含めて痛感してました。最近の男性陣人歌手が、90年代の歌手と大きく違うのが、一つの方向性で押し切ってない事。押し切れないと言うべきなのかもなぁ、と思う時もある。もちろんアルバムの全曲が一つの方向性という事は無いけれど、普通はメインの方向性は一つになってたから。けど、このRaul Midonは3:Keep On Hoping, 4:Mystery Girl, 5:Waited All My Life, 9:Suddenlyと明るい方向性の曲が多く、どれも出来が良い。1:State of Mind, 2:If You're Gonna Leave, 6:Everybody, 10:Neverは切迫感というべき方向性で、これまた傑作曲ぞろい。この時点で、本人が意識的に複数の方向性を伸ばそうとした結果になってると思うから。もちろん処女作は色んな方向性の萌芽があるものだけど、それはあくまで萌芽でしかないから。だからここまで完成度の高い曲が幅広い方向性で並ぶと、聴いてる側としては驚嘆する。

Stevieが参加したのが7:Expression of Loveという事実に、最初のうちは理由が分らなかった。けど、聴き続けるうちにこの曲が明るさと切迫感の真ん中にある曲の気がした。このハーモニカに一番明るさを感じる。曲の最初は明るくないけど、最後は明るく締めてるしね。本気でRau Midonと共有しようと思ったら、この曲が核になるのは確かだと思う。dedicated to Donny Hathawayという8:Sittin' in the Middleは悪いけどそんなにDonny Hathawayを感じないな。

《明るさ》でびっくりイチオシなのが、4:Mistery Girlです。他の曲に比べて、このトーンの種類の曲を傑作にするのが一番難しい。Because Mistery Girlという歌詞の部分からどんどん明るくなるのが不思議。9:Suddenlyもそうだけど、曲のタイトルの割には明るいんだよね。こんなミスマッチがRaul Midonの心の何かを伝えてる気がするや。

《切迫感》で一番感じるのはNever Get Enoughだけど、危険な感じはないんだよね。だから誰でも聴き込めると思う。そんなラインをはみ出ないのも00年代の歌手の特徴の気もする今日この頃。11:Sunshineはタイトルの割りに明るくない。ここら辺に普通の人がSunshineに観るモノとの違いを感じる。13:All in Your Mindは締めの曲として相応しいと思う。この曲での感情はExpressions of Loveに近いかもね。一番、声に伸びがある。

聴き込むべきアーティストであり、作品であるのは確かだけど、聴き込むべきものがこちら側に無いというのが素直な感想です。切迫感にしても追い詰められている感覚はなく、涙の色も薄く、切迫感として捉えるべきかどうかも謎だったりする。人間としてのスキが少ないから、ツッコミどころ満載のハズのR&B男性歌手の伝統とも違う(爆 ということで、Javierと一緒で本HPが完全にコミットできない歌手です。ただ、曲単位ではあまり感じないのだけど、アルバム全体としては盲目感がある。それが一曲に集約されてない所に、時代の差を感じるや。

この作品を聴きこんだ人が、将来どんなレビューをするのか非常に興味がある。そんな意味でもJavierに近い。二十歳前に聴きこめた人は【R&B出会い運】がかなり高いね♪


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