Charlie, Last Name Wilson
街へナンパに繰り出そう!!
[2005/09]

このタイトルの時点で「ナイス」と思うのが正しいR&Bリスナー像でしょう。邦楽で言えば「佳祐、苗字は桑田」のノリだからなぁ、唖然とする方が正しいかもw 曲名だけでなくアルバムタイトルに持ってきた時点で爆笑。有名デザイナーが作ったんだろうけど評価に困るソファーといい、このポーズといい、

100%R&B(非濃縮還元)
ぐらいのノリがあります。中身も2:Charlie,Last Name Wilsonはヒットしてるだけあってイイ曲です。買ってよくよく聴いてみれば爆笑もんのサビ。

Hey girl, How you doin'
My name is Charile, last name Wilson
I was wonderin' if I could take you out
Show you a good time, invite you to my house
Here is my number, girl you can call me
And don't forget it baby, the name is Charlie
そこのお嬢さん、何してるの?
俺の名前はチャーリー 苗字はウィルソン
俺は君を連れ出せるか分らないけど、
ナイスな時間を見させてあげるよ、僕の家に招待してさ
これが俺の携帯番号、これで君は俺に電話できるね
ベイベー決して忘れないでくれよ、俺の名前はチャリー
あまりに爆笑もんなんで、ついつい訳してしまったです。(歌詞全部はこちら)

R&Bで女の娘に声をかけてる曲は多い。
R&Bで女の娘に声をかけるのを薦める曲もある。
けど、これだけ手取り足取りナンパの仕方を教えてくれたのは本曲が初めてです。

この時点で間違いなく傑作です。そんなんで傑作にしていいのかよ、ってツッコミ入りそうだけど、そんなの無視。最後にdon't forgetで、駄目押しのthe name is Charlieが最高ですw という事で、とりあえずナンパについて個人的な体験も入れて書こうと思った。


このアルバムは仙台で買いました。友達の結婚式があって2年半ぶりに行ってきたので。一番町のHMVの前を歩いてて、「この店でCD100枚ぐらい買ったなぁ」とか思って感慨深かったです。隣を歩いてた友達は、「ラス前、懐かしいーー よくここでナンパしてたよなぁ」って言ってた。19の頃かな、「ナンパ待ちかどうかは見れば分る」「ナンパ待ちっているのかよ」「若井、お前は何も分ってない」「(オイオイ、完全ダメだしかい・・・)」って喋ってた友達だったんで、彼の感慨も良く分ったw 他の友達は「この前、ナンパしてたら、他の女性に「あー、この人、前に私に声かけてきた」って言われたぞ。若井、仙台は狭すぎる!!」と19の頃に吼えてたしなぁ。週に7日ナンパに行くから、友達がオイオイって言ったら「お前らが遊んでくれないからじゃん」とのたまった。これはうちらの名言集IN。ホント楽しい友達だった。

ぶっちゃけ工学部なんて、女の娘と縁が無いのが5割、真面目に付き合うのが3割、遊ぶのが2割ぐらいだと思う。(ここら辺の割合は大学の難易度でも変わると思うけど、うちはこんな感じだったかな) で、入学当初、真っ先に友達になったのは2割の方だった。なのにその夏に心臓手術があって、色々重なって、彼らのノリについていけなくなってた。独りで音楽聴いてた時には、一緒にナンパでもした方が100倍マシだと思ったけど、あの時点で色々と味わってたからなぁ。なんか動けなかったです。

確か大学2年の頃だったと思う。友達の一人から電話来たんだよね。「一番町まで迎えに来て欲しい」って。普段は行かないし、そもそも頼んでこないレベルの話だけど、声のトーンが違ったから行ったんだよね。その頃の彼はホントはしゃいでて、彼も3又、向こうも3又ぐらいになってたかな。車で走ってる時に、その中でも一番好きだった女性と別れたからってのは何となく分った。だから「女女って言わずに落ち着いたら」ってなことを言ったら、「独りでいるとさ、寂しいんだよ」

これをストレートな声で聞いた時はホントびっくりしたなぁ。こんなに素直に言うとは思わなかったから。「若井、お前入学当初と変わっちゃったよな」「ああ、入院とか色々あって、昔の恋愛とか振り返って」「なんでお前は独りで平気なんだよ」「俺も独りは辛いよ。独りで辛くない奴なんていないよ。けどさ、分ったんだよ。独りでいられない奴は二人でもいられない

これはその時ふっと出てきた言葉だったけど、その後うちらの間で広まってた。だからだね、方向性が全く変わっちゃたけど、ずっと友達だったのは。彼らは間違いなく正サイドだった。俺は一人で逆サイド突っ走ってたなぁ。


そんな大学生活を思い出しながらアーケードを歩いていた。

「昔さ、言ってたジャン。ナンパ待ちかどうかは見れば分るって」「ああ、覚えてるよ」「あれってさ、何で判断してるの?」「うーんなんだろうなぁ、うまく口で言えないなぁ」「例えば待ち合わせしてる女性は時計をよくチェックするとか、そんな感じ?」「いや、判断にそこまで時間はかけない。一目見れば何となく分る。視線の泳ぎ方とでもいうのかな」 「うーん、深いな。でさ、声を掛ける時はなんていうの? まさか《お茶しない?》とは言わないよねぇ」「そりゃ言うわけないだろw うーん、《何やってるの?》《遊ぼうよ!》かな」

スゲーショックだったんだよね。彼のその声の表情が。自分じゃ死んでも出せないのを痛感したから。やっぱり短い単語の方が難しい。ついついホテルに戻った後に「遊ぼうよ」を十回は言ってみたが(オイオイw、ダメダメだった。この世にはどんな分野であれ何百回と積み重ねた深みってのはある。それが声の掛け方であっても、道に貴賎は無い。そんな意味でも、この曲のサビはHey girl, How you doin'で始まるから最高!! やっぱりこれが王道なんだろう(爆


あの頃は「俺はナンパしない」と思ってたけど、《しない》のと《出来ない》のは違うから。出来ないんだから、素直に出来ないって言うべきだって25近くになって痛感してた。だから、こうやって彼に聞いて、この曲を何度も聴き込んだ。「ナンパはしない」ってスタンスは当然アリだと思う。けど、出来ないのはやっぱり不十分かな。なんか最近はそんな気持ちになってます。

もし二十歳前にこの曲に出会ったら、俺も彼らとナンパに行ってたかも・・・
絶対にあり得ないと思ってたけど、この曲を聴いてたらフッと思った。もちろん行ってたらHPはこの形になってなかっただろうから、どっちがいいのかよく分らない。けど、とりあえず、「中学時代に告白、二十歳までにナンパ」ってのは男の子が歩くべき道ということにしておこう。それが絶対に無理であっても、せめてこの曲はガンガンに聴いておくのをお勧め。

オレッチもこのサビが爆笑モンだと分ってから、帰りの車で延々リピートしてました。「悪いけど、こういう理由で、この曲は連続リピートするから」に対して「変わってないなぁ、お前は」 の一言で2時間付き合ってくれるのも大切な友人関係です。もちろん「けどさ、やっぱり日本じゃMy name is Charile, last name Wilsonの時点で完全にアウトじゃねーか」と突っ込まれたけどねw とりあえず、R&B好きな女の娘はMy Name is Charile, last name Wilsonまで言われたら、その心意気に免じてついて行ってあげてください(オイオイ イキナリ家ってのはかなり無理あるが、カラオケとか飲みぐらいならw 

なんか限りなく音楽のレビューからかけ離れている気もするが、どれだけ本曲が大事なのかは伝わったかな。



実は試聴してた時はこんな最高の歌詞とは思わず、微妙に買うかどうか迷ってた。いくらCharlie WilsonがShava Shavaの元祖であっても、このBrindging the Gapを聴いた時から思ってた。俺はCalvinの心情の方が好きなんだよね。押し気が多いCharlieはなんか合わない。だからずっと迷いながら試聴してたんだけど、10:THRU IT ALLはホントびっくりした。最初の一フレーズの時点で、これが今までにない曲ってのは分った。自分も何百回と積み重ねたら、聴けば心のどのレベルから声が出てるのか分る。その時はタイトル見てもTHRUが何の略かは分らなかったけど、なんか自分の気持ちにフィットしたから。だから買うことにした。

曲の途中で出てくるShavaShavaは、Calvinも出した事が無い痛みに満ちている。
よく聴くとWe've been through it allって言ってるから、「僕らは色々あったけどここまでやってきた」ってサビになるんだと思う。けど、これを別れた後のフェーズ:We've been threw it allにしても想いが載るんだよね。大事なのはこの曲は恋愛の終わり頃を歌っており、そこで今までの二人の間を振り返って、色々あったけど二人の仲は全体として価値があったと捉えていることだと思うから。そこからズレていなければ、「僕らは別れた後にお互い想い出を一つずつ過去に流してきた」という心情でも浸れる。

この曲をガンガンに聴きながら、「心が載る/載らない」に関してやっと前よりも説明できるようになった。僕はずっと歌詞はあんまり気にしてない聴き方をしてる。気にしてるのは「自分が抱えている中の何が載るか」だけであって、載るのであれば何を載せてもいいんだと思ってる。けど、全てに自由度がある訳じゃない。

時間軸/意味づけ ポジティブ ネガティブ 存在の否定
恋愛前 Good Girl Always All Alone 恋愛諦め
恋愛初期 I was all alone you don't know my name 浮気
恋愛ど真ん中 Whenever Wherever Whatever 貴方が見えない
恋愛終際 dont' go I should have cheated 乗り換え
終わった後 付き合えたことは良かった 付き合うんじゃなかった ともかく忘れたがってる

まだラフ・スケッチの段階だから全部埋めてないけど、こんな感じかな。ホントはこれにZ軸で心の深さのレベルがついた、3次元の表になるんだけどね。軸と項目についてはもっとブラッシュアップしていきたいです。

この曲はそんな意味で「今まで付き合ってきたことは良かった」だから、その点でWe've been threw it allも載るんだよね。時間はお互い平等に流れる。その後、こちらに出会いや別れがあったように、向こうにもあったと思う。それだけの長さが経ってるのだから、今の気分はやっぱりWe've been threw it allなんだよね。って、こんな表現があるかどうか分らない。けど、何が生じた恋愛であっても、忘れたがってるのは愚の骨頂だと思ってて、we're still friendsと突き詰めるのは怖くて、全体をポジティブに捉えようとしてる。それだけかな。こんなHPを作ってると引きずってるとか誤解されるけど、そういう訳じゃないよ。ああいう失敗は二度としたくないと痛感してるだけであってさ。

そんな意味では本作は両極端のフェーズがつまってて、だからこの作品は大好きなんだと思う。


仙台に行く前になんか昔のノートを見返してた。そしたら、Always All Aloneって書いてあった。あの頃、AloneとAll Aloneと違いが分って、

「Always All Aloneじゃ曲さえ始まらないじゃねーかよ、誰かこの状態を歌ってくれ!!」
って叫びたかったんだよね。
そんななんなです。

とりあえず、WWWとAAAは今後R&B用語として登録しておかねば(爆
[2008/10]

久しぶりに本作を聴いてました。改めて聴いてやっぱり傑作だと思った。点数はつけない予定なので、気に入った曲をピックアップしておきます。

2 Charile, Last Name Wilson なんといっても名曲ですw
4 Let's Chill 明るさがいい。
5 No Words 改めて聴いて気に入った。Thru It Allに一番近い曲だと思う。曲の後半になるんほどに声が泣き声になってくるのがいい。
7 Asking Questions ミドルのわりに寛ぎ感があって聴きやすい。
8 What If I'm The One タイトルの通り押し気があって、その割に程よく抑制が効いている。シャウター系がこの抑制で歌ってくれると妙に説得力を感じるなぁ
9 You Got Nerve 改めて聴いて気に入った。単なるUPでなく切迫感がある。相手から別れを切り出されて、慌てて駆けつける時のような切迫感。Marc Nelsonの曲と合わせてこういうフェーズのセレクト集を作ってもいいかもしれない。
10 Thru IT All なんといっても名曲です。これだけ泣きのあるShavaShavaをリチャードソンが歌うことは無いと思う。何よりも自身の愚かさに対する視線があって、そこに一番惹かれる。
11 My Guarantee My Guaranteeが断言できる保証。それこそが10曲目の状態を正面から見つめて歌ったからだろう。「過去に間違いを犯し、そして反省した」の方が「間違ったことが無い」よりも保証になると思ったりも。
12 Cry No More 11と同じで、10の後だからこそ歌える曲だと思う。未来に両手を広げるような曲。軽い歌手が歌うとどうしようもなくPOPSの曲になるけれど、底を潜り抜けた人が歌うと深みが出る曲。
10,11,12の深みと、2,4,5,7,8の明るい雰囲気の両方があるからこその、傑作アルバムです。


 


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