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光り輝いた後に溶け込むシャボン玉のように、穏やかに諭される | ||
[2001/12] Calvin RichardsonをJレコードに紹介してくれて、来年の彼のアルバムではプロデュースを手がけるという話なので、文句無しに彼女のアルバムを買いました。始めて聴くアーティストなので、まだ分かってない事も多いけど、イキナリこの声にやられました。 女性アーティストの中で1番いい声してる 「声の優しい男性アーティスト」コーナーは作ったけど、当面、女性版の予定はありません。それはそこまで惚れこんでる声が少ないから。というか、確かにトニブラは最強アルトだと思うけど、どうしても男を意識してると思っちゃう。「それがイイ」という意見もあるだろうけど、そっち派では無いなぁ。シリーナ・ジョンソンのスタンスは好きだけど、どうしてもあのしゃがれ声はまだ合わない。男のしゃがれ声はスキなのだが、女性の声には滑らかさを求めてしまう。だから色々総合すると、今まで声として気に入ってるのはTerry EllisとMissyとSadeだけなんだよなぁ、、、とあまりにヘンテコなので、さすがにコーナーは作れません。 けど、Angie Stoneのスゴさは良く分かる。オールドソウルな声なのに綺麗だから。それは11:Makings Of Youで誰にでも伝わると思う。それ以外の曲がこのジャケットそのまんまなんだよなぁ。これに1歩引いちゃう人は買わない方がいいと思う。自分もまだちゃんと浸かれてません。足から浸して馴染ませてるという状態 イキナリ来るのも悪く無いけど、こう1歩1歩進む方が得るものは大きい。それを繰り返して幅を広げて行くのだと思うから。 | ||
けど、その次ぎの曲が個人的にめちゃくちゃ感動するんだよなぁ。 買ってから1週間だけど、もう何回聴いたか忘れた。数10時間連続リピートだから、1000回位かも。何が凄いって、その《上手さ》なんだよなぁ。R&B-Timeのヘンテコ理論でも書いたように、歌が上手いという事は声による空間構築力だと思ってた。歌うという事は、自分の感情を空間に押し込む事だと。上手な人は、感情を抜いていく事もできる。この感情の出し入れこそが歌の上手さだと思った。けど、Angie Stoneはもっと違う手法なんだよね。 光り輝いた後に溶け込むシャボン玉のよう 詰めこむにしても、抜き取るにしても、空間というのはあくまで対象なんだよね。というよりも、シャウター好きな立場としては怒る相手といってもいいぐらい。「訳も分からず泣き叫びながらも視線だけは揺らがない」というのが、自分にとって最高のシャウトだし、好きな作品ほど客観的な視線と、爆発する感情の交差がある。 そもそも泣き叫ばなくても受け入れれる事実なんて、意味ネーよって思うもん。生じた事実を見詰める事から逃げるくらいなら、こっちのスタンスの方がまだマシだと思うから。 けど、これがガキの態度という事を、このアルバムを聴いて始めて教えられました。そりゃ自己規定としても"問題児"だったけど、「それ以上の方法なんてしらねーよ」だったもんなぁ。「それさえ出来ない奴にとやかく言われたくない」と思ってたからなァ、、、ずーと喧嘩売ってました、ハイ。 言葉を一つ一つ取りだして、空間に溶けこませてる 今まで見てきた空間は明確なラインが引かれていて、「このラインからこっちは構築したPlace、向うは未だ出来てない空間」って二分されていたけど、そのラインを曲の間にどれだけ押し広げれるか?を競ってると思っていたけど、 Angie Stoneが作りだす空間は優しげなグラデーションがある なるほどなぁ、、、分かってみれば当然かも。もちろん現実にはこんなシャボン玉なんて無いけどね。最後は破裂するって決まってるもん。けど、彼女の声は光り輝いて、そして溶け込むんだよなぁ、、、、ホント信じられないや。前作と聴き比べると、前作にはまだこのレベルの声は無いと思う。何度聴いても思う。 って事は、この2作の間に手に入れたのか。それは旦那のディアンジェロと関係あるのかなぁ? ゴシップに興味はないけど、このアドリブは信じられないレベル。歌よりも詞よりも、このバックの声だけで伝わってくる。 彼女の辛さが、 それをどうしたいのかが。 <shout>そんなの小学校で習ってねーーーよ(怒)</shout> 人生の答えを見せられる度に叫びたくなるのは俺だけか?この曲が無かったら、いつもと同じ事をやってたんだよなぁ、、、叫ぶだけじゃじゃ解決できないのをこれだけ見せ付けられているというのに。。泣きたくなるくらいに優しいなぁ、、、、このアドリブ。間違ってたと分かった自分にも優しい。ずっと非難して来た自分と天と地の差です。 |
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はぁーー、いつも自分はこんなんなんだよなぁ。けどなぁ、、深い感動ほどそおいうモノなんだよなぁ、、、未だにそれを繰り返さなくちゃいけない。たまに、こおいう大ドンテン返しがある、、、「えー外れだったのぉ?」とか「えーネクストレベルがあるのぉ?」とか思い知らされる瞬間が。だからこそR&Bを聴いてるのだから。 一曲に思いっきり引っ張られるアルバムの方が、ホントはスキかな。CとFは気に入りました。未だ全曲の位置付けは出来てませんです。けど、この時点でヘビロテBランク マイケルの方では、ちゃんと自分なりに説明した。けど、このAngie Stoneはまだ出来ない。この感覚が何処から生まれるのかよく分らない。奥の奥まで掴まえないと、結局猿真似になるし、それをしたい訳じゃない。頑張らなくちゃ、、、、ただ、最後はシャボン玉というのは良く分かった。そのうちR&Bヘンテコ理論とマクナイト特集は書き直さないとネ。 |
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置き言葉 |
[2003/07] 相手に対する喜び・寛ぎ・嘆き・哀しみ・・・曲を通じて伝わってくる感情には様々なモノがあるけれど、諭されることは滅多に無い。けどAinge Stoneの傑作:Mahogany Soulの12:"Mad Issues"だけは滅茶苦茶にきた。このアルバムが無かったら、僕はずっとあの場所に立ち止まっていたかもしれない。2001年冬、HPがどんどん形になるのと正反対だった。晩秋にMaryJ.の"My Life"のUPの後かな、、、このアルバムがあったから、D'Angeloアルバムを聴き込めるようになって、Soulの時代にもどんどんハマっていった。 11:Makings of Youから連なる流れは、Angie Stoneの最高傑作だと思う。元歌はCurtis Mayfieldと言うけれど、その後、元歌も聴いたけれど、この曲の方に惹かれてる。曲の終盤の掲げるように"Fouu"と叫んだ所が彼女の血肉を表して、カバー曲以上にしてると思うから。死ぬ程聴いたのに未だMad Issuesほど描けない。色んな想いが詰めこまれすぎてクリアーにならないから。 ただ、 相手との全ての想い出を高みに押し上げてる それだけが、どうしようもなく伝わってきて、、、これこそがMad Issuesを歌うために必要だったのだと思う。彼女がコンサートでMad Issuesだけを歌う姿は想像できないや。そもそも個人的すぎる曲だし、2度も歌ったら彼女自身が腐るんじゃないかな。そんなギリギリの曲だから。 Angie StoneとD'Angeloとのなれそめは置いておいても、逆さにしても本曲はD'Angeloの道に対する彼女の答えだと思う。Mad Issuesと言わなければ、「貴方は天に唾を吐きかけてる」とでも言わんばかりの曲なのに・・・なぜこんなにも切ないんだろう。相手への非難しかしてない曲なのに、優しくて哀しい。あの時から引っ張られたし、それは今でも変わらないか。 最近、「それは北風じゃないですか。北風じゃ絶対に相手は変わらないですよ」って言った事がある。こう言えるようになったのが、この曲のおかげです。自分の事を振り返るとどん底に行くから未だに真正面から踏み込めてないけど、答えが何処にあるかはよく分かったよ。 お互いが変わっていかないと、長くは一緒にいられない。 お互い本気で好きになると、適度に距離感を変えれなくなって、どうしてもお互いが相手を変えて行こうとしちゃう。これだけ本気で相手のことを好きなんだからと思って、自分の状態を客観的に見れなくなる。 そして別々にドツボにハマってく。 この歌の深みは、Angie Stone自身がその中を潜り抜けたからじゃないかな。 お互いが自分自身を変えて行こうと思えば、それだけで上手く行くのにネ。なのに、気持ちが入りすぎると無理になっちゃう。それは何故? それを「若さ」と言ってイイのか、未だに自分は分かってない。 たくさんの楽しい想い出、たくさんの辛い想い出、いつも別々に襲ってくる。 そんな状態になることは1度はあるかもしれない。 けど、その状態じゃ何処にも行かないんだよネ。だけど、それらを両方一緒に思い出すと、心が破裂する。 その状態をMaking of Youが救ったんじゃないかな。だからこそ、Mad Issuesの前にこの曲がきてると思う。 だからこそ、単なるSoulの時代への参照にならないのだろう。 この形こそが、Angie Stoneが受け入れれる接し方なのだろう その想いは痛いほど分かる。Soul Musicは救われるために聴くのであって、それ以上でもそれ以下でもない。 「諦め」と「諦念」の間には、微妙な差があると思う。諦めはまるで負の決算、赤字覚悟の損切り。けど諦念には明日がある。もし次に同じ形がやってきた時に、諦めた人は踏み込めないと思う。けど、体を張って自身のBestを尽くした人は、15:Life Goes Onのように明日が開ける。Angie Stoneがどれだけ体を張ったかは、6:Wish I Didn't Miss Youで一目瞭然だと思う。男を本気で好きになった全ての女性が惹かれるんじゃないかな・・・ 人に色んなタイプがあって、付き合う形も沢山あっても、ギリギリの地点は一つしかないから。続く7:Easier said than Doneも深いんだよね。この流れも本作の輝きだと思う。 変わらなくちゃいけないアホ男は多い。だから相手を変えようとする女性も多いと思う。けど変えようとして変わるなら、それはアホ男じゃない。アホ男かどうかなんて、「お前じゃ俺は変わらない」って言葉をどれだけ言った事があるかで、一目瞭然だと思う。って、もちろん言った瞬間に全てが終わるから、さすがにここまでの激アホはいないだろう。けど、7:Easier said than Doneの詞にあるように、 貴方の謝る言葉は信じられないの って状態に落ちこんだ男女は星の数だけあると思う。非難をする曲は多い。見捨てる事を薦める曲も多い。その気持ちは良く分かる。早めの軌道修正ほど人生やりくりするのに大切なものはないから。けど、それらの曲よりこの曲の方が深い。それはAngieが何も薦めてないからだと思う。誰にだってイイ道を薦めてくれる人はいる。けど、その忠告を聞けるなら、そもそもここまでの状態になってないよ。 そういう状態はどうするの?一番底から救ってこそSoulじゃないの?って思ちゃう。だから、本曲が一番好き。なにより、忠告じゃ人は諭されないから。 方向を示さない事が、一番先を示してる 今、今、今、今、膨大な今。それだけが救いになってる。7:Easier said than Doneの静寂は、掲げたMad Issuesと違って、光がこぼれてくる感覚です。 最初に諭そうと思うと小賢しくなるだけだと思う。昔の話や周囲の話、聴き始めるだけで結論が見える話。そんな話ばっかりで、逆に「学べる形なんて有り得ない」って視野が狭くなってる男女を余計に焚き付けるだけだから。じゃあ、一体、Angieは何をしてるのだろう? どれだけ体を張っても受け入れきれなかった事のみを掲げてる シンプルな彼女自身の事実として。だからこの曲は誰の方へも向いてない。というよりも、向こうとした時点でおかしくなると思う。歌詞はあくまで向いているのにネ。サビで流れる後ろの声が全てを上に持ち上げてる。このバックの声が無かったら、この絶妙なバランスがダメになってたと思うな。 確かに俺はアホだけど、このままでイイと思ってるほど腐ってない 何度聴いても、えぐられる。そしてこの言葉を言わせられる。膨大な哀しみが諭すように上から降ってくるのに、彼女自身はどんどん上がってる。だからその姿を死ぬ気で追いかけちゃう。けどこれを当人から聞いたら、その時点でアウトだと思う。それはMaking of Youの時点で決まってると思う。ここまで来たら今後どれだけ後悔を重ねても無理だと思う。だから、あのまま終えても良かったのにね。それだけの"Fouu"だよ。 けど、Angieは一つの事実だけ、置いていった それがMad Issuesなのだ、、、、横から見てる自分でさえも激凹む。これが真正面から来たら、、、と思うと怖い。本気で怖い。未だに前を向いているD'Angeloだけど、この曲だけは耳にしない方がいいと思う。耳にした時点で、長い間歌手としてやっていけなくなると思う。そして他のアホ男はこの曲だけは聴いて欲しい。踏み込めない相手を奥底で非難しているうちはまだいい。数が増えれるほどに動けなくなるとしても、まだ段階性があるから。けど、この曲は頭上から振り下ろされる。もし実際にこの曲のレベルを味わった男がいるのなら、、、、何も言えないな。 やっぱり救いは相手と共に行ったよ、、、 これだけです。「この曲を救いと思えない限り、この先、一生、光はやってこない」とは絶対に言えない。それは小賢しいから。それ以上にこの曲の輝きを汚すから。 |