2007 作品紹介

2007年に買った作品を紹介していきます。
自分が好きだった歌手はなかなか新作を発表しないし、発表しても以前の傑作と比べるとどうしても落ちる。加えて30歳になったこともあって、新人の作品もなかなか手が伸びない状態です。歌手としてピークがあること自体は当然だし、殊更にアルバムコーナーで低い点をつけたくもないので、ここにメモ程度に簡単にコメントしていきます。ただ、特に気に入ったのは今までの新作紹介と同じ形式にします。

きっと彼らが60歳に近くなった頃に、歌手としてのもう一つのピークがやってくると思う。それまでどうか息の長いアーティストとして続いて欲しい。最近はそんな気持ちでリスナー生活を過ごしてます。



Adriana Evans -- "EL CAMINO"

Ryan Shaw -- "This is Ryan Shaw"

Alicia Keys -- "AS I AM"

Raul Midon -- "a world within a world"

[2008/03]
「成長したとみるべきか、持ち味が薄れたとみるべきか」
超絶テクもなければ、突き詰めたら反転する内的世界もない。けど、それはデビュー作だからこそ表現できた事であって、2作目はこれぐらい落ち着いているのも当然なのかも。歩みを追っかける位のファンなら文句なしの作品だろう。けど、誰に貸しても驚かれるレベルの演奏が無くなったから、掴みが弱い。この作品から聴き始めるのは困難じゃないかな。

個人的にはあの超絶テクが無いのは気にしてない。けど、あの内的世界が無いのはやっぱりショック。他人と反対の価値観というより、ネガティブを突き詰めてポジティブに反転させる力を持ってたから。それは目が見えないというスタート地点を、歌手としての独自性まで高めたからこそ身についたのだろう。そんな曲は聴き込むほどに前向きに歩く力を与えてくれるから。個人的には低いトーンながら力強さがある06:Everybodyとか07:Expressions of Loveとか、10:Never Get Enoughがお勧めなんだけどね。

ところが本作ではこんな手触りの曲が一つも無い。逆にそれは成長の証なのだろう。デビュー作はインディーで発売された作品だけど、メジャーデビューしてレーベルのバックアップも勝ち得て、歌手として申し分のない結果になってる。だから2作目はもっと調子に載ってもいいだろうに、あくまで落ち着いた作品。それは賞賛すべきなのだろう。01:pick somebody upは1stの雰囲気なのだけど、02:love is gonna save my lifeは本作で始めて見えた安定感を感じる。03:all the answersも同じテイストなんだけど、Stevie Wonderの落ち着いた曲に近い。05:All Because Youは「妻のことを思い浮かべて作った」という通りの内容になってる。本作が通常の2作目以上に落ち着いているのが不思議だったけど、デビュー前から結婚してたのね。なら納得できるものがある。

本当はStevieのAll in Love is fairを継ぐ曲が欲しかったけど、結婚しててかつこれだけ安定感のある曲を作るなら、この先もあり得ないか。。そんな点でも、全体的に独身の若い男性と重ならないアルバムになってます。人間としての不安定さを感じる作品がとことん好きな本HPとしては、気に入ったと言えないです。けど、CDについてるRaul本人のコメントを見ていても、過去のSoulを蘇らせようとしている作品であって、自己の内面の衝動を昇華させた面がない。それをどっちに判断するかかな。

Carl Thomas -- "so much better"

[2008/01]
「彼なりの寛ぎを表現しようと試みているが、個人的には処女作の手触りが欲しい」
3作目になってCarl Thomas自身がしたい事と、リスナーが望む事の間にミスマッチが生じている気がする。自分だけなのかもしれないけど、やっぱり彼には処女作のように「独り身の寂寥感」を歌って欲しいんだよね。あの作品はどんなフェーズの曲でもそれが感じられて、だからこそ大ヒットして独自の位置を占めたと思うから。

けど、このコンセプトは成功すれば成功するほど遠ざかってしまう。それがCarl Thomasが抱えている困難さだと思ってた。
2作目では初恋フェーズにコンセプトを移動して、ミドルの傑作曲が沢山あって、初回のデートにお勧めなアルバムになってた。そんな意味でも大満足だったけど、本作では彼のやりたい事についていけてない感覚がある。

もちろんもっとファンの人なら大満足の作品かもしれないけど、寂寥感を求めるリスナーには合わない作品であるのは確か。本作での特徴が良く出てるのが04:throught You Should Knowです。この曲を気に入ったら全曲OKじゃないかな。個人的にはここら辺はJaheimやマクナイトに望む面であって、Carl Thomasにはあまり望んでないのかもしれない。13:If You Everも同じかな。POPSっぽいから、より評価が割れる気がする。この曲を気に入る人には傑作アルバムとなるだろう。

14:Say I Doに一番ミスマッチを感じる。もしこれが処女作にあったら、手の隙間から零れてくる寂寥感があったと思う。けど、それを感じないんだよね。。。そんな意味で一番気に入ったのが16:Homeです。これこそが処女作に連なる曲だと思う。

「彼が夢みてた幸せは、歌手としての成功の中にあったのだろうか?」
僕はそれを正面から切り取った作品を聴きたい。彼にはもう1歩自分自身のDestinyと向き合って欲しいと思ってます。

Gerald Levert -- "IN MY SONGS"

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Casely -- "I'll Be"

[2008/01]
「マクナイトの処女作を継げるポテンシャルがあるが、追い込みが足らない。今はAliciaの男版かな」
Terrellなどを出しているSlow Downレーベルから発売されたので、試聴して買った作品です。本国ではインディーで2005年に発売されているみたいですが、日本発売が2007年なのでこちらに書いておきます。これからもSlowDownには良質な作品をこういう形で発売していって欲しいです。

Brian Mckinghtの処女作に一番近い作品といえばいいかな。メランコリックなピアノから始まり、02:I'll Beを聴いた瞬間に買う事を決めました。最近の若い男の子の中ではピカイチのメンタル的な凝縮力がある。それがマクナイトを継ぐのに一番必要なのだから。マクナイトの曲をカバーしたAliciaほど明確ではないが、確実に同じ系統。Caselyにもカバーしてほしかったです。Aliciaが好きな人には確実にお勧め。

03:Way She's Movin'はUP寄りで、歌手の幅を感じさせるのもナイス。好きな歌手にSisqoの名前を挙げているのもポイント。Sisqoが内向的だと聴いて分らない奴に内向性の先は無い。04:Honorも一転して内向性。これもイイ曲です。ところがアルバムが進むにしたがって、純度が落ちるんだよね。曲としては悪くはないんだけど、誰もついて行けない高みに登っていったマクナイトとは違う。それが凄く残念です。あんな掘り下げは怖いもの知らずの20歳前で可能な話だから、幅の広さは22歳過ぎてからでいいんだよ。

けど、07:When You're Not Aroundもイイ曲なんだよね。だからこそ凄く惜しい。彼が色んな意味で才能に溢れているのは分るけど、だからこそこの時期でないと出来ないことを突き詰めて欲しかった。Caselyが本気で目指せばマクナイトの処女作に限りなく近づけたかもしれない。08:Your Wayもそうだよね。マクナイト系統ということを横に置けば確実に傑作。

Usher以降の男性新人歌手の中ではCaselyをTOPとします。
それが本HPの結論。それだけの作品です。巷で売れてる歌手でもいいけど、もし君が真に内向的に突き詰めれる力を望むなら、Caselyを聴かなくては行けません。じゃないと二十歳前後の一番大事な時期をドブに捨てることになる。無理に傑作と評判高い過去の曲を遡って聴く必要は無いからね。あくまでも同時代の歌手と一緒に成長してほしいと思ってる。

どんどん過去に流れていくHPで、こんな事を書いても無意味な気がする。それでも僅かな偶然を信じて、Caselyのレベルの高さを明らかにするために書いておきます。男ならAliciaの処女作でなく本作を聴きましょう。Aliciaの91点と同じ点は確実にあります。

Keysha Cole -- "just like you"

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Angie Stone -- "the art of love & war"

[2008/01]
「安定感が伺える作品」
新しいレーベルに移って最初の作品になるけど、前作で見つけた彼女なりの曲作りを踏襲した感覚。曲調と声が絡み合った彼女にしか出せないトーンがあって、ファンとしては嬉しい限り。この路線は他の歌手が歌ったらパクリになるレベルでしょう。まるでIsleyの作品のように、安定感が出てきている。個々の曲の完成度が高いのが嬉しいところ。Soulとしての感銘度はこれまでの作品に劣るけど、その分だけ気軽に流せる。だからこれまでの作品が合わなかった人には、普通に部屋で流せる曲を集めた本作を薦めます。

その中でも個人的に気に入ったのは08:These Are The Reasonsです。曲の作りもそうだし、サビの歌詞の良さもある。今までの作品を全部持ってて、本作が物足りない人ほど本曲と09:My Peaopleを聴いて欲しい。

このアルバムのセールスで結果が出たら、Angieは60歳まで続く歌手になれるだろう。そんな意味で今後を占える作品だと思う。その点でもファンとしては皆に薦めたい作品です。

Jagged Edge -- "Baby Makin' Project"

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2006年の作品はこちら
2008/02

2005年の作品はこちら
2008/03 NEW

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